鈴鹿の山・御在所岳2 静かな頂上

しばらく行くと、先ほどの男女が引き返してきたので「頂上には行かないの?」と聞くと、「階段が雪で滑って登れないから」と答えてくれた。彼らは防水性のスニーカーを履いていた。

「では気をつけて」と声をかけて別れ、先を行くと、雪の坂となった。階段らしい。これを乗っ越せば頂上はすぐなので、登って行った。雪で滑り台になっている。かなり滑った痕があり、さっきのカップルだな、野遊の靴でもそのままでは登れない。カットしながら登って行った。

野遊が先に行って、あの二人にカットをつけてあげればよかったと思った。

さらに少し登って行くと、頂上に着いた。
頂上見渡す限り真っ白で、だれもいない。閑散としているのだけれど、どことなく華やぎが感じられた。
素晴らしい景色だそうだが、ここにきたらガスが立ち込めていた。

頂上の標識の前に、堂々と灰皿が立て付けられてあり、一本、吸殻が突き立っていたのにはちょっと鼻白んだ。休憩所があり、テーブルと椅子があり、そこにも灰皿が備え付けられてあった。

山カテ友が、「御在所岳は観光地だから」と言っていたが、下界でも今は分煙の時代なので、こんな場所に灰皿が用意されてあるのはイヤだ。それに、自分の出したゴミはお持ち帰りにすべきだと思う。喫煙は個人の自由だから反対はしないけど。

普段は人でにぎわう頂上だそうだが、今日は実に静かで、でもこの何となくの華やぎは、普段の人気のぬくもりかしら。

寒いぞ〜と言われたわりには寒くなかった。ガスはあったが陽も射し、風が凪いでいたし。ひとりしあわせ気分にひたった。