2012-01-01から1年間の記事一覧

朝日連峰北方 35 終章・野遊タイム

記録・野遊版(画像は以東岳の登り・松虫岩)2012年9月9日(日)大井沢橋本荘泊10日(月)晴れ 橋本荘ー(車)ー障子ヶ岳登山口6:00s〜出合吹沢(朝食・橋本荘のおにぎり)6:20〜紫ナデ10:00a・10:30s〜障子ヶ岳12:30a・13:00s〜天狗小屋15:00a 11日(火)…

*朝日連峰北方 34 来年の今日もまた

東京駅で家に電話した。だれもいないので留守電。藤沢駅でバス乗り、18時帰宅。ゴスケが帰っていた。「お帰り〜」「天気は良かったか」くらいで、いつものごとくゴスケは細かくは聞かない。野遊は自分の部屋に行って、ルネを抱っこしてから、荷をほどいて…

朝日連峰北方 33 鶴岡へ

野遊の手の腫れはだいぶ治まって、ゆるくならグーができるくらいになった。 手がすっかり日焼けしている。それに小さな傷だらけだ。山で野遊は手袋をはめる習慣がない。持参してはいるが。 寒くないのに手袋をするのは、歩きながら手先が熱くなって気持悪か…

朝日連峰北方 32 泡滝伝説について

野遊が下山した泡滝登山口。鶴岡から大鳥方面に40キロほど行ったところが泡滝で、泡滝ダムがあるのだが、その名の由来は、この場所に滝があって、泡滝という名だったのだ。 泡滝は細かい泡を吹くように流れ落ちる特徴のある滝で、風光明媚な名勝だったのだが…

朝日連峰北方 31 下界の匂い

朝日屋旅館の朝だ。昨日とは全然違う環境。もう自分で何かしなくとも、ちゃんと事が運んでいく。 朝食は昨日の部屋に降りて行けばいい。隣にいた登山客はすでに出発していない。 向こうのテーブルに2人、渓流釣りの宿泊客が座っている。熱いお味噌汁がありが…

朝日連峰北方 30 朝日屋旅館

朝日屋旅館に着いた。広い間口の玄関に入って靴を脱ぐと、ロビーのソファーを勧められた。ザックを脇に置いて座ると、氷入りの麦茶が出された。わあ、うれしい。野遊のうしろに若女将さんが立ち、運転してくださった女将さんが横にしゃがみ込み、カウンター…

朝日連峰北方 29 泡滝登山口に出る

野遊は悠長に考えていた。泡滝15時なら大丈夫、早めに着いて礼儀正しく待っていようとか。 七つ滝沢で休憩を取った。もうすぐという気がしていた。(画像は吊り橋) 地図ではそこからダラダラ長いのだが、前回、ここまではすぐだったという気がしていたので…

朝日連峰北方 28 大鳥池と超人ハルク

(画像は以東小屋からの最初の下り道。崩れた道に手入れが施されてある。ケータイでよくわからない(>_大鳥池は白砂(小石かな)のジャリジャリした広野原の向こうにあり、池というより湖みたい。その白い広野原に、ザクザクと大きな足跡がついていた。今まで…

朝日連峰北方 26 以東小屋の夜は宇宙の世界

ついに暮れた。でも山の向こうがぼんやり光っていて、周囲はまだ明るい。小屋の中はほぼ真っ暗だ。外でゆっくり夕食を、などと思っていたが、夏のキャンプファイヤー的にはいかず、寒い。仕方ないので中に入り、バーナーの「ボッ!」にビクビクしながら点火…

朝日連峰北方 27 以東岳の急降下道

2012年9月13日(木)晴れ目覚めて朝食を済ませ、部屋を片づけて、ポリタンクに残っている水を、外に流した。ジョボジョボジョボ、いつまでも終わらない。重かったわけだ。底に少しだけのつもりが、こんなにあったのだ。水道水ではないけれど、もったいない気…

朝日連峰北方 24 以東岳

やったぁ以東岳だ。ヤッホー♪ おおおこれは! またまた新しい道標登場。真っ先に目に飛び込んできた。 寒江山にあったのと同じ、木肌の1本柱に、こげ茶に塗られた板が貼られてあり、白いペンキの文字が書かれてあった。これは北寒江山の道標と違って自筆だ。…

朝日連峰北方 25 以東小屋の黄昏

一通りし終えた。小屋をゆっくり見学する。おや、入り口の窓辺に小さな鏡がある。女性の着替え室がありますと張り紙がある。二階の非常出入り口のスペースのことだ。そして、あの「結露のないという異常に冷たい板の床」には、銀マットが敷き詰められてある…

朝日連峰北方 25 以東小屋の碧玉水

以東小屋に到着17:00。ケータイの電池を入れ、朝日屋さんに連絡を入れる。「docomoですが、小屋から通じますか」と、出発前に確認済みだ。 朝日屋さんは、すぐに出た。「明日の14時に泡滝に着く予定」を告げた。13時でなく14時にしたのは、ゆっくり出発する…

朝日連峰北方 23 以東岳への驚きの登山道

一昨年の夏、強風で大きな岩に叩きつけられたところを探しながら歩いたが、道はどこまでも草原の緩い上り下りで、時間的には(^_^;)もう以東さんに着いてしまうのではないのという気がしたが、たしか、以東からの最初の下り(今回の登り詰め)は急な細い道で…

朝日連峰北方 22 中先峰の緑の虫

狐穴小屋からしばらくは、きれいな道が続いていく。ミミ尾根からずっと眺めていた道で、なだらかな山肌の真ん中に広々とした登山道があり、刺繍糸で壁飾りに縫いあげたいような絵だ。一昨年ここを下ったときは濃霧で何も見えなかった。いつ狐穴に着くのか見…

朝日連峰北方 21 道標に説教する 

稜線に出て目に飛び込んでくるのは、ずっと見あげながら登った一本柱の道標だ。実にわかりやすく、これ以上の親切はないというくらいの表示になっていた。けれど、こちら側に向いている面はデカデカと「山形県」と三文字だけ。・・・やな感じ。「北寒江山」…

朝日連峰北方 19 善六池と獣臭

優しいお顔の草の道は、次第に歩きにくくなってきて、足元がおぼつかない。いいお天気なのに草が生い茂って根元が湿めっているので、道が濡れている。草の中の道が見えなくて、ゆるい傾斜ながら岩と草が滑りやすい。なんだかヌルヌルとバッチイ感じだ。もっ…

朝日連峰北方 20 ☆相模山☆

先ほど見あげた最も手前の突起に近づいた稜線で、ザックを降ろした。行動食を少々食べ、水を飲んでから、ポケットにキャンデーを1個とコピーして折りたたんだ地図を入れて空身で歩きだす。どんどん登っていく。すると上からまた細い道になっていてしばらく横…

朝日連峰北方 18 北寒江山からミキ尾根へ 2012・9・12(水)

目覚めて、まだ夜中という気がしたので目を閉じたまま、今日のことをあれこれ考えていた。そしてふと目を開けると、なんとすっかり明るくなっているではないか。あれ?と思った。時計を見ると5時だった(◎o◎)こんなことってあるのだなぁとキョトンとしたが、…

朝日連峰北方 17 狐穴小屋 2012・9・11(火)泊

画像は登山道にあった。 右は野遊の靴。 熊でしょうか・・・ガスが以東岳のほうを取り巻き、野遊は登って行った人を想った。今ごろ大変だろうな、中先鋒の先の登り道だけでも、視界が効きますようにと祈った。あそこは、ガスに巻かれると、どこを歩いていい…

朝日連峰北方 16  今日初めて人に会う

小屋の、水場のそばで、だれかがこちらを見ている姿があった。 男の人のようだ。大きなザックがそばにあるので、小屋番さんではない。 あ、人間発見、と降りていくと、こんにちはと丁寧に言ってくれた。 野遊も挨拶した。 「どこからいらしたのですか」と聞…

朝日連峰北方 15 すごい石

遠くから見た高松峰は、歩いてみると頂上というより通過点のような感じだった。やがて岩尾根がだんだん広々とした稜線になっていき、砂礫の美しい風景が現れる。左前方の下の方に、赤い屋根の狐穴小屋が見えてくる。 山じいが西川山岳会と交信を取ろうとして…

朝日連峰北方 14 オバラメキ

歩きながら、前方後方とも同じ顔色の道なので、もし野遊が昨年の夏のように疲労困憊していたなら、どちらを向いて歩いて行けばいいのかわからなくなってしまうだろう。昨年方向感覚がヘンになってしまったことを思い出して、ここでそれをやってはおしまいよ…

朝日連峰北方 13 角力尾根

朝は7時に出発した。人気がないし、熊がいたら怖いので早朝の行動は控えた。今日は狐穴までなのでゆっくりゆとりをもって行ける。出発してから20分ほど、天狗に登って坑道のように真ん中が堀削られてある下りにさしかかるとき、野遊は忘れ物に気づいた。スト…

朝日連峰北方 12 無人小屋にひとりで泊まる初体験

2012 9/10(月)天狗小屋15:00a 天狗の小屋はひっそりしていた。昨年の夏に2泊、秋に1泊して以来だ。夏の宿泊は、件の水をもらってしまった山行なので次の日の稜線を断念し、日が余ってもいることで連泊したのだった。初日の晩は渓流釣りの人たちも混じって和…

朝日連峰北方 11 卒業!

下方に見おろせる天狗の小屋を目指しながら、野遊はここで、昨年のあの登山を総括して卒業しようと思う。今までの野遊の登山での飲量を元に持参していった水が、あの日は足りなくなった。 あの日は稜線でも水不足で、ほうほうの体で収容された登山者もいたと…

朝日連峰北方 10 天狗へまっしぐら

今回は頂上で長い間障子ヶ岳に語りかけ、景色を充分堪能してから、13:00過ぎ、おもむろに粟畑〜天狗へ向かった。下り道は優しげで心が弾む。ずんずん障子ヶ池の地点に近づいていく。昨夏の野遊はここで、朝方先に行ったブルーベリー氏に会うのだった。彼は野…

朝日連峰北方 9 標識

視界の開けた登山道を行く。障子の頂上がずっと下方から見える。左肩に樹が見える。人間がちょっと体をかがめてこちらを見ているような姿の木だ。今は樹だと知っている。昨夏は人かと思った。だれかいる、野遊が登っているのをだれかが見ている。あそこまで…

朝日連峰北方 8 障子ヶ岳に挨拶する

元気いっぱいで登る。方向感覚がはっきりしていて、あの日、なぜここで、どちらに歩いて行っていいかわからなくなるようなヘマをやらかしていたのか不思議でしょうがない。・・・回想しつつ登る。草も樹も乾き切っていてパリパリだったが、水分がほしくて葉…

朝日連峰北方 7、紫ナデ

ロープの張ってある所から、左手に障子ヶ岳を眺めながらしばらく尾根伝いに行くと、ヒョイ、といった感じで紫ナデに着いた。思わず標識に抱きついてしまった。一人で感激して、涙がホタホタ溢れてしまった。 10時過ぎだった。昨年はここに着くまでが長かった…