2010-01-01から1年間の記事一覧

安達太良連峰(10)終章

安達太良山はいい山だった。道も、岩も、その姿が、いかにも東北の山らしい。特に鉄山から主峰に向かう登山道が、野遊には異国だった。 ガスで前半は景色が見えなかったのが残念だったが、主峰を降りるころから晴れてきて、景観の美しい山だと思う。山渓のビ…

安達太良連峰(9)バスで岳温泉〜郡山駅へ

17時半の臨時バスは、係りの人に「少し早めにバス停に来て待っていてください」と言われたのでそうした。10人くらいの乗客が集まった。時間になってもバスはなかなか来なかった。何台か「駐車場行き」のバスが来ては止まり、乗客を乗せないまま発進していっ…

安達太良連峰(8)安達太良高原へ

ゴンドラを降りたら、そこは安達太良高原だった(。◕‿◕。✿)頂上乳首でヤッサモサとしたので、思っていたバスには乗れなかったが、連休で臨時バスが夕方に郡山に向けて出るそうで、予約した。それにしては時間がある。ゴスケはレストハウスでラーメンを食べ、野…

安達太良山連峰(7)これが安達太良山、あの光るのが・・・

あの光るのが阿武隈川・・・が見えたかどうかはわからないけど(かすんでますし)。乳首の頂上は岩ゴロで狭かったけど、反対側に行くと静かな場所があり、そこにも数人、座ってお弁当を食べたりしている登山者がいた。こちら側からは下れないことになっているけ…

安達太良連峰(6)乳首にて 1

乳首の下は人だらけで、どこからわきあがってきたのだろうというほどだったが、そのほとんどが、すぐそこのゴンドラ使用の往復の人々だった。 ここで野遊は悲惨な目に遭った。ここは野遊のほかの文章より抜粋する。 「東北の山はロープウェイとか多すぎるけ…

安達太良連峰(6)乳首にて 2

実は前章(5)の索引事項以外の情景がある。 あんまり登るツアーの顧客らがのろいので、降りる人たちが業を煮やして、(それもほかのガイド社のガイドが主張したことから)、ちょっと中断で、たまってしまった下りの登山者に道をあけることとなった。 個人…

安達太良連峰(5)主峰へ

道は次第に火山の様相を呈してきて、ザキザキの溶岩がドデカンドデカンと立っている。足元は裸のような土で、いかにも強風に洗われてしまっているといった感じだ。朝日連峰も風がすさまじく、野遊も何度か岩に叩きつけられたが、竜の小屋の遠藤氏が、「風が…

安達太良連峰(4)鉄山

こんなに親しまれているはずの安達太良連峰のメイン縦走路が、昔日の丹沢大倉尾根のように、剥げ落ちた土崖を両サイドの壁にして、削り取られ続けるデコボコズルズルの泥道のままでいいのだろうか。登りにくそうなところにすでに何本か横道が発生していた。…

安達太良連峰(3)鬼面山から箕輪山へ

2010年10月11日(月)連休の三日目、7時半に朝食、8時15分に出発。ここは湯治客のほうが多いようで、登山者のための早い朝食時間はなかった。お弁当が予約できるかなと思ったが、ゴスケがちゃんと朝食をとって行きたいと言うし、時間的にOKと思えたのでそう…

安達太良連峰(2)野地温泉

9日の土曜日はやはり雨だった。10日の午前中に出発して新幹線で駅弁を食べながら福島まで行き、そこから野地温泉のお迎えバスに乗った。バスは広い舗装道路を山に向かってどこまでも走り、やがて前方右手に吾妻小富士が美しく登場した。野遊は地図を頭に浮か…

安達太良連峰(1)億劫

2010年0月9(土)、10(日)、11(月)の連休に、東北の安達太良山に登ろうかと、ゴスケが言った。自分は朝日連峰を歩いた感激が色濃く、あのあと、東北づいたのか、というか、朝日連峰の縦走路から、白と黒の段だら模様に光る月山を見て、あそこ…

朝日連峰縦走(32)最終章・野遊タイム

朝日連峰縦走の記録野遊版2010年7月23日(金)〜28日(水)。夜行4泊5日(中一日停滞)7月23日(金)晴れ。 東京丸の内北口発 夜行高速バス鶴岡、酒田行き23:15s, 7月24日(土)鶴岡7:00a, (Mrドーナツにて朝食) 路線バス大鳥行き7:42s, 大鳥(朝日屋旅館前)8:55a,(…

朝日連峰縦走(30)山形駅にたどり着く

野遊が山形駅に着いたのは、直射の西日も和らいだ18:30。 1時間半歩いたことになる。実に予定外の無駄な行動だった。ビジネスホテルはいろいろあったが、駅の近くにした。料金とか、もう比べるゆとりはなかった。とにかく疲れて、早く横になりたい。カウン…

朝日連峰縦走(29)山形の街で遭難!?

高速を降りると車内アナウンスが、改まった調子で、大変お待たせしましたと言い、ご乗車ありがとうございますと言い、お忘れ物のないようにとか、長々しゃべっているので、終点かと思った。少年も運転手さんに「気をつけて行けよ」と言われて下車したので、野…

朝日連峰縦走(28)月山登山口から山形駅へ高速バス

月山登山口で下車すると、ここにも人影はあまりなく、広い道路の向こう側におみやげ物売り場がある。午後の日差しは真っ向からジリジリ照らし、野遊は喉が乾いた。さっき、といっても1時間も前になるが、大井沢のバス停で、銀玉水で汲んだ残りの水を飲み、あ…

朝日連峰縦走(31)歩いた・・・深い喜悦!

朝は4:00ころ目覚めた。下界にいるのだなぁとしみじみ思った。体が重い、足が痛い、顔がむくんでいる。下山日の予定外の行動も、朝になって考えれば、バスの運転手さんも交番のオマワリドンも関係なく、すべて自分に帰するものであった。 まわりの助言に惑わ…

朝日連峰縦走(27)なんと月山登山口へ

そこは「ゆったり館」という温泉で、お土産売り場と、運動場のように広い駐車場とバス停がある。バス停で調べてみると、いろいろな路線バスが出ているようで、タキタロウ組もあーだこーだとアドヴァイスしてくれるのだが、彼らは鶴岡の人なので、ざっくりと…

朝日連峰縦走(26)小寺へ、そして大井沢へ

小寺への道も、ほかより容易というだけで結構長かった。野遊には指導標か目印がもう少しほしかった。いつまでも黙々と下山路が続き、最盛期なのに登山者に会わない。 1時間ほど下ると、タキタロウ組のひとりが休んでいた。一緒に下りだすと、ほかの人たちに…

朝日連峰縦走(25)赤トンボの飛び交う小朝日岳

大朝日岳の居心地のいいサミットにしばし居座り、静かに野遊はそこを辞した。静かに、それはおごそかな気分というのかもしれない。 下りは2名の登山者とすれ違い、朝日肩の小屋へ戻った。そこに到着したのが、竜の小屋で騒いでいたタキタロウ組だった。何と…

朝日連峰縦走(24)大朝日岳

大朝日岳の登山路は、何か異質の感じがした。と、書いてみたいけれど、そんなことは全くなかった。ただの、カウントできないほど体験してきた「よくある登山路」だった。 だれかが降りてくる。二人連れだ。すれ違うときに声をかけられた。「早いですね!」。見…

朝日連峰縦走(22) さあ行くぞ竜門山へ!

以東小屋から来た5人組は円座になって食後のアルコールタイムを楽しんでいたが、これまた酔いが入ってか小屋中に響く大声でしゃべっては笑い、笑ってはしゃべり、20人のツアーよりにぎやかで、にぎやか競争のようになった。時間は19時をまわっている。彼らが…

朝日連峰縦走(23)西朝日岳の絶景

竜門山の頂上に立って、野遊は、信じていいのか?というほどの感慨に包まれた。ガスがあがり、向こうの峰峯がまるでBGMを響かせながら、幕が開くように展開しだしたのだ。冷たさを秘めた陽が輝く。行くべき峰がガスの向こうから一つ、また一つと、これですよ…

朝日連峰縦走(21)ツアーのパワー

今のところ今日の竜の小屋の宿泊客は、連泊で以東岳を往復したご夫婦と、以東小屋からやってきた5人組。それと野遊の8人だ。ご夫婦は、昨日日暮れ沢小屋に車を置いて竜門山、今日は以東岳往復(何も見えなかったそうだ、ヒメサユリも(ToT))で、明日は朝日岳、…

朝日連峰縦走(20)装備、パッキングについて

今日は一日竜の小屋でのんびり過ごすのだから、白く煙った窓の景色に目をやりながら、この場を借りて、しばしゆっくり、野遊は装備などについて語りますかな。装備は細かい。リストアップするとA4横罫紙に2列でもいっぱい。 ザックは25ℓ。雨具防寒具は前述…

朝日連峰縦走(19)停滞・・・竜門山小屋にて

4時過ぎ、気配に目ざめた。雨の音。頭上の窓をのぞいても、何も見えない。こんな中歩くのやめた。皆さんせっせと煮炊きを始める。野遊はインナーの上に座ったまま動かない。横たわっていたかったが、就寝していると思われたら気になるだろうから起きていた。…

朝日連峰縦走(18)竜の夜・・・意外や、寒かった

登山客はご夫婦、単独、階下でおしゃべりしていた男性4人、それと野遊の8人だ。4人組がガサゴソ上ってきて寝静まると、そのあとは物音一つ聞こえない夜となった。野遊はいつものごとく寝つきが悪く、イビキも聞こえてきて完全に寝そびれた。そのうち寒くなっ…

朝日連峰縦走(17)竜門山避難小屋

竜の小屋16:10着。小屋のそばに豊富な水場があり、正面に不思議な畑があった。畑ではなく、バイオトイレの一環だ。重い戸を開けて中に入ると、右手はトイレスペース、左手は土間になっていた。土間のほうに進むと、左手は上がりがまちから階段になっていて(…

朝日連峰縦走(16)寒江三山を超える

寒江山の頂上は立派な標識もあり、安堵感があった。素晴らしい景色を眺めおろしながらラリホー!と叫んだ。先ほどの彼らはもう姿が見えない。狐穴小屋はここからは山陰になっていて見えないが、そちらに向かっているのだろう。あの速度だ、もう着くころだろ…

朝日連峰縦走(15)北寒江山からの雄大な美しい登山路で

歩きだすと、ゆるく増していく高度と共に展望が開けてきた(^.^)三方境にたたずんで天狗角力取山への道筋を見渡す。心が奪われて、しばし見とれた。左のはるか向こうに見える、藍色と白の段だら模様の、姿のいい山は月山だ。そのさらに向こうに浮かぶのは鳥海…

朝日連峰縦走(14)狐穴小屋にて

狐穴小屋は大鳥池小屋よりもずっとこじんまりとした避難小屋だ。戸を開けると、すぐ右手に、昔の農家のような家庭的な感じのトイレどころがあった。だれもいないので外に出て、そばの水場で休んだ。靴を脱ぎ、素足になって腰かけ、水を補給した。お昼はソイ…