2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

温泉から温泉山行 20 終章 トロッコ電車

簡素にしておいしい、心のこもった朝食をいただいて、8時、祖母谷温泉を後にする。 小屋の女将さんとは、もっとお話をお聞きしたいような、別れがたい気がした。 入り口に大きな浮き袋(ロープつきの)がかかっていて、お孫さんが夏休みで遊びに来ると、祖…

温泉から温泉山行 19 祖母谷温泉

湯の花の舞う露天風呂に身を浸し、ただ「ああ〜」と言うばかり。 こんなにいっぱいの湯の花、初めてだ。 掌にお湯を掬うと、こまかい桜の花びらみたい。いつまでも浸かっていたい。でも夕食を遅くしては申し訳ない。 さっきの唐松お母さんが入ってきた。夕食…

温泉から温泉山行 18 グレイト家族

ポッと大きな河原に出て、降り立つと「白馬登下山口」という標識があった。 そこから赤いペンキに導かれながら広いガラゴロ岩を伝い、やや下方に渡った。 ああ、これがガイドブックにあったガレ場か・・・気づくのが遅かった。 そして再び山道に入り、祖母谷…

温泉から温泉山行 17 竹の茎

大きな岩を越して道に足をついた途端、すいっと足元が縦に動いて野遊は滑ってしまった。 見ると、竹の茎が道の真ん中に、縦に落ちていたのだ。 まるで「さあこれに乗って滑ってください」というように。 これはわざとだ。絶対にわざとだ。なんて意地悪な竹の…

16 不帰(かえらず)の避難小屋から百貫の大下りへ

時間的にもうそろそろというころ、不意に不帰の避難小屋が現れた。11時40分。 お昼までにここを通過するようにとの祖母谷温泉の方の忠告を、なんとか守れて前半はホッと一安心。 ここで昼食にする。ゴスケがまた冷たい水を汲んできた。(小屋の近くにあ…

温泉から温泉山行 15 花、花、花

8月18日(日)白馬山荘5時40分発朝食はお弁当よりも、ちゃんと座って温かいお味噌汁やお茶を飲んでいきたいとゴスケが言い、賛成して5時に食堂で朝食。 ガスが立ち込めているので白馬登頂はやめて、昨日登ってきた緩やかな旭への道に入っていく。 視…

温泉から温泉山行 14 白馬山荘

「はくばさんそう」と言う人もいるけれど、やっぱり野遊たちは「しろうまさんそう」と呼んでしまう。 だって「しろうま岳」だから、そのふもとの山荘も同じ呼び方に。野遊たちは山荘の新館とやらの、3階の階段を上がった正面のスペースが与えられた。 その…

温泉から温泉山行 13 警備隊1号

その地点(突起の下部)に、一人のおじいさんがいた。 さっき、突起の上にぽつんと立っていた人影があったが、この人だ。 痩せていて、白いあごひげを蓄えた何とも風情のあるおじいさんだ。 体にいろんなものを装着している。警備隊員だそうだ。 人のいない…

温泉から温泉山行 12 旭岳

村営山荘を右下に見て、反対側の左へ緩やかに下っていく道をたどる。初めて踏み込む道だ。男性とすれ違ったので、旭への道はこっちですよねと確認すると、彼は雪渓の雪を取りに行っただけだそうで、ビニール袋にいっぱい雪を入れていた。 沸かしてお茶でも飲…

温泉から温泉山行 11 白馬鑓、杓子

白馬鑓に向かうとき、二人連れがこちらに向かって歩いてきたが、見あげると彼らはまさに空中散歩状態だった。やがてすれ違うとき、野遊は思わず彼らに言った。 「お二人があそこを歩いてらしたとき、足から青空で、絵になっていましたよ」 彼らは何とも言え…

温泉から温泉山行 10 カメラの失敗

野遊は写真の腕はまるで素人だが、やはり自分が見た光景は撮影したくて、 デジカメを持って行ったのだが、スイッチを入れようとしたら反応せず、 出かける前日、充電器にバッテリーを置いた状態のまま、カメラを持ってきたことを知った。 猿倉山荘でポケット…

温泉から温泉山行 9 稜線へ!

8月17日(土)晴れ・鑓温泉小屋6時s小屋の左横を登る。稜線まで2時間40分、ひたすら登る。 杓子の赤膚の岩に励まされながら登る。 昨日は小屋のやや裏側にいた杓子が、今は右方に威風堂々とそびえている。 行くからね〜そっちに。ここから見る天狗岩がかっ…

温泉から温泉山行 8 この温泉ですべてが賄える

「この温泉ですべてが賄える」と、どなたの言葉だったか。 寝具のお粗末さも、スペースの狭さも、食事のまずさも、すべてこの温泉で賄えますと。温泉に近づくとトイレの臭気はぐんと高まるし、トイレに行くのも憂鬱だし、 乾燥室もなく、干し物類は小屋の外…

温泉から温泉山行 7 白馬鑓温泉

鑓温泉は、小屋を真正面に見ながらしばし登って行くのだが、下から入浴している人たちが見える。 お風呂のヘリに座っている男性たちが、のんびりとこちらを見おろしている。テン場に近づいていくと、何とも強烈な尿臭がするので驚いた。 テント用のトイレも…