2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

野遊・呼吸の世界 14 隊長スコットの遭難

(17)8400M バルコニー下スコット隊はすごい。顧客9人、全員登頂させた。顧客たちもすごい。でも疑問が残る。しんがりを務めて登っていた隊長スコットは、全員が頂上に立ったと知らせを受けた時点で、どうして下山を開始しなかったのだろう。スコットも…

野遊・呼吸の世界 13 吹雪の中の彷徨

呼吸の世界、極寒のAbout 8000M 無酸素ビバークアタックテントまであと1、2時間のサウス・コルで、あちこち真っ暗な中をさまよっていた人たちが、幸か不幸か合流する。名前を書いてもカタカナの羅列でわかりにくいだろうから省くが、スコット隊のガイド、…

野遊・呼吸の世界 12  登山ラッシュ

(14)ベック・ウェザース話を午後過ぎに戻す。天気はよかった。5月10日、頂上に向かって、30人以上の登山者がひしめいていた。1本のロープに群がる登山者たち。凍え、体力を消耗してこれを待つ後続登山者たち。食パンみたいに固まって道をあけない…

野遊・呼吸の世界 11 スコット・フィッシャー

(13)隊長スコットの密かな苦悩マウンテン・マッドネスという登山ガイド社の社長スコット・フィッシャー。彼は長髪を束ねて後ろで結んだ、面魂精悍な優秀なる登山家だ。その実力をビジネスに運用した彼は合理的な、いかにもアメリカ人的な人物だったのだ…

野遊・呼吸の世界 10  酸素

(12)ジョンの勘違い・・・アンディを見まちがえるこの日、最初に頂上を踏んだのはアナトリ(スコット隊のガイド、なんと顧客も連れずに単身で)、ジョン(ロブ隊の顧客)、アンディ(ロブ隊のガイド、トップで行った自分の隊の顧客に付き添って)だ。彼…

野遊・呼吸の世界 9   アタック日

(11)ロープのセッティングのいざこざこの時期は、頂上アタックは夜中に出発するやり方が多くなっていた。エヴェレストが初登頂され、以降、ヒマラヤ8000M峰14座(とされている)の初登頂を国々が競った。日本が登ったのはマナスルゥだ。ゴザインタ…

野遊・呼吸の世界 8 隊長の苦労

(10)イレギュラーロブは、5月10日を頂上アタック日に決めていた。同時期にBC入りしたほかの登山隊と、打ち合わせをする必要があった。アタック日が集中すると危険だからだ。アメリカのマウンテン・マッドネスという会社の社長、スコットフィッシャー…

野遊・呼吸の世界 6  シェルパ、ポーター

(8)ヒマラヤ街道ネパールのカトマンドゥ、さらにルクラまで入ると、そこにはわたしたち日本人には想像できない未開発な文化生活がある。ヤクーの糞を炊いて暖房にするのだが、建物の中にニオイが立ち込めるそうだ。子供が大人を手伝って、ヤクーの糞を集…

野遊・呼吸の世界 7 ベースキャンプ 

(9)難波康子 1難波康子は、世界7大陸最高峰踏破を目指した。ガイド社に申し込む登山が多かったので、余計なことには煩わされなかったと思うが、自分のみを管理して登って降りてくるだけでも並大抵のことではなく、この世の「山に魅せられちゃった人」の…

野遊・呼吸の世界 5  信頼関係、ロブとアンディ

(7)高度順応 行っては戻り、期間をかけてアドベンチャー・コンサルタンツの8人の顧客の平均年齢が高かった。(ちなみに難波康子は47歳)。大名登山みたいな感じで登っていたのだろうと思う。8人は現地で初顔合わせ。これから長い期間寝食を共にして同…

野遊・呼吸の世界 4  エヴェレストガイド登山・・・営業登山社

(6)アドベンチャー・コンサルタンツ10年ひと昔というならば、1996年はひと昔を越える。 ニュージーランド人、ロブ・ホープは、アドベンチャー・コンサルタンツを設立し、エベレスト登山者を募った。世界で一番高額なガイド料だった。(6万5000…

野遊・呼吸の世界 3  エヴェレスト遭難事故1996年の前に

(4)エヴェレストはゴミの山自分がこんなこと書いてもどうなるわけでないし、それに、思うことが膨大で、どうしていいかわからない。でも自分が自分にああだこうだと言い続けてきたことが、もう飽和状態になって、自分に言い聞かすつもりで、ごたごた書い…

野遊・呼吸の世界2  ヒマラヤ山脈エヴェレスト

(3)近づけすぎた世界最高峰世界最高峰のエヴェレストは、1920年代からさまざまな視察を経て、マロリーの遭難事故(チョモランマ側)の末、1952年に、イギリス隊によって初登頂された(サガルマータ側)。頂上を踏んだのはニュージーランドのヒラ…

野遊・呼吸の世界1 DEATH ZONE

(1)題名についてジョン・クラカワー(米)著『INTO THE THIN AIR』という書物。1996年に、エヴェレストで大きな遭難があった、ジャーナリストのジョンは参加者のひとり。後日、生存者たちに取材して書いた実録書だ。本文はみごとな臨場感があり、伝わりく…

ルネのおばか

今年の夏は、我が家に、「あの虫」(業界用語では太郎丸というそうだ)を見ないで終わった。夏の初めにバルサンを炊いたり、相当気遣っていたが、窓から入ってきたりするから、太郎丸はどうしようもないのだ。見なくても、夢に見てうなされたりするし。本名…

ルネ登場

ルネを迎えた。アメショの女の子。生後1ヶ月と25日。健康で賢く器量よし。この子とは一生付き合うことになるのだけど・・・・それはもう抜き差しならない状態になって、すぐに気づいた、この子の好きじゃない点。もう後戻りできない。預かりの1週間、と…