Rio (1)早朝に快哉を叫ぶ

内村航平。ソウルのオリンピックでは19歳だった。いろんな面で小柄に思えたが、初登場の最若輩が、しっかりと活躍していた。明るい若者的印象はなく、公的な場では、あんまり感情を表に見せない子だった。なんか白けてる感じもして、現代っ子なんだなあと思ったり。

ロンドンのオリンピックではすでに頭角を現していたが、なんといっても富田洋之が主役だった。採点法が変わって富田選手はその後、引退する。だれもがそのとき、富田のあとをついで活躍するのは内村だと信じた。

野遊もそれに異論はなかったけれど、あんまり富田選手が好きで好きで、あの力強さ、華麗さ、美しさ、確実さ、クールでチャーミングな彼のあとをどうやって継ぐというの?と思ったものだ。

けれど美しい体操という富田のキャッチコピーそのままに、内村は「決めてきた」。そして「乗り越えていった」。さらにそれを「持続させている」。

こだわり続けた団体優勝を果たし、大きな口を開けて破顔した内村君。あんなにシラァッとしていた彼が、なんとかわいいことだろう。そして個人総合優勝を果たした!遠藤幸雄選手が個人総合優勝した姿を見たのが野遊のオリンピック初体験(テレビ観戦)なので、オリンピックのうれしい賞は、野遊にとっては男子体操の個人総合優勝なのですよ。

すごいね、内村航平。天才も努力しないと力を発揮できない。努力って、一言で言えるものではないほど大変な切磋琢磨の積み重ねだ。息子ほども年下だけど、日本人として彼を誇りに思い、心から尊敬し、憧れてしまうわ。野遊の人生に、しっかりくさび打たれる人物だわ彼も。

2016年8月11日(木)早朝。内村航平、悲願の団体優勝を果たした2日後に輝いた個人総合優勝。この日を忘れない。