山岳映画上映会(5)後楽園駅

後楽園は、たぶん初めて降りる駅。目の前が文京シビックホール
うっかり一つ手前のビルに入ってしまってエレベーターで昇って行ったら違った。そばにいる人に聞いてしまう。わからないときに日本語の応酬ができる安堵感はどうでしょう!少しくらいわかりにくい言い方をされても、自国語であることで「充分ありがたい」。

文京シビックホールは広くて、どこで映写会をやっているのかなぁとガードマンみたいなのに聞きながら2階の現場に到着。

半分ほど座席が埋まっていて、400人くらいの小ホール。中央の「観やすい席」は、招待の紙が貼られてあった。
野遊は一番後ろの真ん中通路側の席に座った。前に座高の高い人が座るとアウトなのだけど、前席はまだ観客が座っていなかったので不明。やがて時間が近づいてくると、前席に大きなおっさんが座り、ほぼ剥げているけどまばらに毛がついていて、その毛があちこちにはねていて、ちょうど野遊の目の前で、どうしても目に入る。舞台に張られた画面に見入ったとして、野遊の目には、まずその毛が入ってくるのだろうなあと憂鬱になった。野遊もこんな変なことに気を削るとは困った性格だ。

〔実際映画が始まってから、野遊はこのおっさんの、トウモロコシの先みたいな毛先越しに映画を観続ける羽目になったものだ。加藤保男さんの映画になってからは、背筋を伸ばして少し腰に力を入れて高くして、座った状態の背伸びみたいにして、おっさんの頭よりも目線をあげた。ずっとそうして観た。こういう所作ができるから、芝居でも映画でも、最後列の座席に野遊は座ることにしている〕