お正月山行

奥多摩の高水三山を選んだ。軍畑から高源寺を経て常福院、高水山、岩茸石山、惣岳山、御嶽へ。記憶も煙る昔の2月、山岳部の支部山行で歩いたことのあるコースだ。

ある程度歩けて、ある程度景色も楽しめて、それでいて雪の危険がないところを、ということで選んだコースだったが、前夜、参加者1の親族から忠告が入った。参加者1が伝えて言うことには、大寒波が襲ってきているが、大丈夫かと。ま、だれだれが参加しているそうなので、大丈夫とは思うがと。そのだれだれっていうのがたまたま今回参加するわたしの夫なる者なのだが、彼は、高水山も知らなければ、軍畑なる駅名も知らない者だ。でも男性だ。どうして男がいると、人は安心するのか。(ほかに男性がいたが、これはその親戚の知らない若者だったので)

自分は、真冬の山なので、ピヨピヨのプー子もいるし万が一の場合を思い、ここにしたのだ。突然雪山のただ中にワープするわけではあるまいし、危険そうだったら引き返せる余裕を持てる種類のハイキングコースにしたというのに、はたから勝手に大寒波だ大丈夫かと言われるのは、ずいぶん自分は信頼されていないものだと思ったが、ま、それはいいとして、無責任な横槍を入れるものだとも思ったね。(我が)夫(男性)がいるから大丈夫だろうとかあっさり言う、いったいこういう世間の見識ってなんだろうね。ケ、まいいか。

朝早くて眠かったが、ホリディ奥多摩号に乗って軍畑で集合、日だまりハイキングを楽しめて、歩行数は2万歩を越したとか。お昼は高水山の手前の休憩所で手作りのお節めいたものを出し合ってわいわい。プー子は、あれほど飲み物と昼食は持参と言ったのに、コンビニで買ったおにぎり2個を、朝、電車の中で食べてしまったそうで(>_<)、そして飲み物も足りなくなって人から分けてもらっていた。

さらにプー子は、電車の中に本日で期限切れの定期入れを置いてきてしまい、全財産の6000円も入っていたのだと泣き顔。いちおう無人駅から電話して、届けてておいたが、結果は無残。これを戒めに今後気をつけたまえと援助してやったが、おそらく今後も繰り返す超おばかな子。軍畑の駅前で騒いでいたので、登山中、追いついて来たおじさんに、「見つかりましたか?」と聞かれていた。おじさんありがとう。自然の中では、みんな心優しい。

1名、それほど体力はないながら昨年、亡き夫の追悼登山で、穂高に行った女性がいて、いつもながらこの人は、自分のことはきっちり自分で責任を持っている。おまけの部分はあくまできっちり遊びの余計分野だ。あってもなくてもいいことと、あるべきこととを分けている。それが自然体でわたしに伝わってくる。これが山の基本だなぁと、彼女の夫が山家だったので、感慨深い。

反省。この寒い日に、お節料理と果物(リンゴ、柿、ミカン)は冷たい。ペットボトルのお茶類だけでなく、温かい飲み物があればもっとよかった。ラジウスか、せめてただのメタでいいから、水を湧かして熱い飲み物を分けてあげたかった。

お天気のお陰さまもあって楽しかった。

おりてから御岳駅の近くのおいしいおそば屋さんでおそばを食べた。暮れの大晦は、生そばを茹でたがうまくいかず、「細く長く」の祈願が「細く千切れ飛んで」になってしまったので、ここで細長いおそばを食べられてめでたい。

田部井淳子女史が、自然の中にいると、体も心も純化されるので、山へ行くなどの、こういう所作は人生で重要ですというようなことを言っていたが、こんな寒い日に、理屈を忘れて歩きながら温かくなっていき、シャツ1枚になって心地よい汗をかくのは、まことに爽快そのものだ。

追記・後日、プー子に連絡が入り、定期入れがそのまま戻ってきたそうだ。拾って届けてくださった身知らぬ方に、限りなき感謝を!