ミヤマキリシマ山行(3)この一年

メールが届いた。双六小屋の前の広場で、カレーライスのお皿がの並んだテーブルを囲んだ3人組と野遊の写真。それと、ピンク色にくるまれた「どこかの山」!こ、これがかの久住山か。なんと、なんと美しい。
(あとで知ったことだが、この山は九重連峰の主峰、久住山の近くの平治岳だった)

行きたいものだ。と思った。けれど野遊は、本当にこの山に自分が登るという現実感がなく、きれいですね〜という返信メールを送っただけだった。

それよりも久々単独山行の、北アの稜線が鮮やかに印象に刻みつけられ、そのすぐあと山友達と北アは奥大日岳に行っていたし、夏の終わりは伊吹山の計画があったので、気持はそれきりになっていた。

しかし秋が訪れ、冬になり、季節はめぐり、その間にも九州組からはミヤマキリシマ情報が入ってくる。気がつくと野遊は、半信半疑ながら久住山のことを考えていた。「自分って、本当に行くのかな?」「まだ日がある」と、のんびり構えているうちに、春が過ぎて新緑の候となっていた。

この3人組はM(九州出身名古屋在住)、K、S(二人とも九州在住)で、Mは、所用があって野遊の住む湘南地方に来た折、鎌倉に寄ってくれた。そこで食事をしながらまたまた山談議。これはいよいよ本当に久住山という山に登ることになりそうだと実感した次第だ。

それからは、野遊は普段の山友達(いろいろな世界に何種類も持っている)に、ことあるごとに声をかけたが、皆、最初は「いいわねぇ〜!」と乗り気になってくれるのだが、「九州はいかにも遠い」と、最終的には断られてしまい(>_<)

一人長崎出身の友がいて、彼女は「飛行機代が高いから、滅多なことでは帰郷しないのよねん」と。で、彼女は同じその日に、ヨーロッパに旅行するからと(^・^)

野遊は、費用二倍を覚悟の上で娘にまで声をかけたが、娘は大学の研修があるからと。九州は日にちがかかるのだ。遠いのだ。ま、いいか!行くぞひとりで!