朝日連峰縦走(7)大鳥池小屋(タキタロウ小屋)へ

背の高いブナの樹林帯を登っていく。左手に続く渓流が、だんだん下がっていく。
橋を渡って、人気のない道は続いていく。七つ滝は名所のようだが、滝見物の人などいなかった。むしろ荒れていて、腐った落ち葉とクモの巣だらけという感じで、とても分け入っていく気持になれず、残念だけどそのまま通過した。

道は次第に勾配を増し、渓流が遠ざかる。登りでも、下りでも、何度も何度も、このバージョンを体験してきた。ああ、登りつつあるな、下りつつあるなという実感。山は基本的に、みんな同じ顔を持つ。

やがてつづら登りになっていき、上方から光が射してくる。数人、下山者に会った。野遊はずいぶんゆっくり歩いているし、12時過ぎに30分ほどランチタイムもとったけれど、さっきの車組は追いついてくる気配もなかった。

13:30、大鳥池小屋に着いた。7月下旬から8月中旬の、夏だけ入っている小屋番の藤井氏が、ガイドブックに紹介されてあるままの穏やかな表情で迎えてくれた。

「始発バスで来たのですね。もう一人乗っていたでしょう。その人は、以東まで行きましたよ。早くに着いたからね。この先は、今までとは全然違って厳しいので、今から行ったら、途中で引き返すことになりますよ」

なな、なにをおどすのですか、泊まりますよ・・・(~_~)

小屋は手入れが行き届いていてきれいだった。二階に案内されたが、だれもいないのでゆっくり着替えた。

小屋先でぶらぶらしていたら、2台のタクシーで入山した、ツアーの5人組が到着した。やがてマイカーの二人組が到着した。今夜はこれだけだそうだ。ということは、会員バスは、あのあと1台出ることになっていたけれど、乗客がいなければ出ないのかな。あっ、さっきの下りの登山者を乗せるために出て行くかも。それにしても少ない人数だ。だから夏しかやっていないのか。秋も出てほしいけど、朝日連峰は入山者が少ないのだな。