朝日連峰縦走(17)竜門山避難小屋

竜の小屋16:10着。小屋のそばに豊富な水場があり、正面に不思議な畑があった。畑ではなく、バイオトイレの一環だ。

重い戸を開けて中に入ると、右手はトイレスペース、左手は土間になっていた。土間のほうに進むと、左手は上がりがまちから階段になっていて(上は宿泊スペース)、右手はわずかな宿泊スペース。数人の男性が陣を構えて、楽しげにワイワイやっていた。今日の行動をすでに終えた登山者たちが、夕食前の雑談に、アルコール入りで花を咲かせている。野遊が入っていくと、いっせいにこちらを見た。

「こんにちは。あのぉ小屋番さんはどちらでしょうか」
「僕です」と、丸顔の年配的おじさんが、彼らの中から声をあげた。この人が遠藤博幸氏だった。所属する山岳会でエベレストを登り、k2(天候により頂上間近で撤退)を登った遠藤氏だ。

「今日はどこから来ましたか」と聞かれ、
大鳥池小屋です」と答えると、そこにいる人たちがみんな、「ほう」「ヘェ」と言って野遊を見つめるではないですか。

宿泊名簿に記入しながらも聞かれた。
「何時に出たんですか」
「5時50分です」
「・・・10時間か」と、遠藤氏がつぶやいた。野遊、ちょっと恥ずかしかったよ^_^;

二階に案内された。がら空きだった。若いご夫婦と、単独らしい男性がいた。一隅を与えられ、まずは着替え。遠藤氏がまたやってきて、「二階は静かだねぇ、どうですか」と、ウィスキーを勧めた。野遊も勧められたが、着いたばかりでまだ忙しく、それどころではない。二階から出ている非難階段のところにスペースがあって、そこで着替えた。荷物も整理して、ようやく落ち着いたのは17:00を過ぎていた。

この小屋は大鳥池小屋とは規則がまた違っていて、自分のスペース内で燃料が使える。ベニヤ板が積まれてあり、それを敷いてストーブを置くのだ。みなさんせっせと食事の準備をしている。

野遊の夕食はスパゲッティだ。缶ビールが水場で冷えていて、800円で売られていたので購入。卵とじをおかずにしてビールを飲み、お湯を注いで15分で出来あがるスパゲッティを食した。地図を眺めていると暗くなってきた。さぁ〜寝る時間です。