朝日連峰縦走(18)竜の夜・・・意外や、寒かった

登山客はご夫婦、単独、階下でおしゃべりしていた男性4人、それと野遊の8人だ。4人組がガサゴソ上ってきて寝静まると、そのあとは物音一つ聞こえない夜となった。野遊はいつものごとく寝つきが悪く、イビキも聞こえてきて完全に寝そびれた。そのうち寒くなってきた。床が冷たい。袖なしの防寒具を着込んだ。しばし温まるが、下から体温を奪われていき、また寒い。触ると、床は野遊がずっとここにいるのにひんやり冷たかった。なんちゅう材質じゃ。

思い切って起きあがり、ゴアの雨具を着て、膝上までのパンツも身につけた。寒かったときに用意してきた物を総動員し、着替えをシュラフ(今回は裏起毛の薄手のインナー)の中に入れた。

以前飯豊連峰を縦走したとき、夜は暑くて寝苦しかった。シュラフの上に寝たことがある。それでも暑くてハァハァした。また、登山者の体験記などを読んでも、夏の朝日連峰の暑い夜の記述があり、暑いだろうと思って来た。大鳥池小屋は温かかった。標高と畳のお陰かな。防寒具は重くできないので袖なしモフモフと膝上冬用パンツくらいで、あとは雨具だ。これでいいと思ったけれど失敗したかな〜床側の体の部分を触ると冷たくなっているので、寝返りをひんぱんにして交互に温めたが交互に冷えてくる。

さて今度こそ寝つこうと何度かトイレに立った。寝ている人を照らさないように、ライトを手に持ち、握りしめて漏れ明かりで行動する。階下は真っ暗だった。トイレでライトをしっかり装着する。バイオトイレは水洗で臭わない。すごくありがたい。

階下はシンとしていて、遠藤氏は戸を一つ隔てた中で寝ているのだろう。床に銀色のシートが敷かれてある。登山客と雑談するときの遠藤氏の「居場所」だ。

眠ろうと焦ればなお寝つけないとわかっているので、目をつぶってノンキにしていた。向かいの4人組の中から記録的イビキ発生、周期的に落雷的で、そのたびにギクッとして目がさえる(ーー;) 隣の(といっても空間があるので離れている)単独者も、目を覚ましてしまうらしくモゾモゾ。耳栓を出して装着。少し柔らぐくらいかな。ア〜3時をまわってしまったなというあたりからちょっと静かが訪れ、眠りにつけた。