朝日連峰 障子ヶ岳 3 「山じい」

昨年は夜行高速バスを使用した。電車よりもずっと安い。前夜遅くに出発は眠れないし辛いこともあるが、朝一番で現地に降りられる。

このたびは、どうでも好天時に出発したく、予約の必要な高速バスをどうしようかと思っていた。山形には5時に着く。そこから大井沢に入るには、お昼になってしまうのだ。野遊の選んだ登山路は障子ヶ岳経由で、朝から登れなければ不安だ。当日朝出発して新幹線で行き、大井沢で1泊しようと慎重な選択をした。

どうして障子ヶ岳コースにしたか。それは朝日連峰の記事をネットで見て、交通についてなどを問い合わせていた時期のこと。返信メールがきた。しばしやり取りをしているうちに、返信主さんが名乗ってくださった。志田勝利さんという方で、大井沢で生まれて育ち、子供のころから朝日連峰を眺めているという方だった。

志田さんという名前は朝日連峰のいろいろな場所というか避難小屋を管理している方の中にあり、その一族なのかもしれないと思った。この志田勝利さんは自称「山じい」で、メールにてさりげなくさまざまなアドヴァイスを下さった。

山じいから、天狗へは障子ヶ岳からも行ってみてくださいねという内容のメールがきた。大井沢からはバカ平からと障子ヶ岳を越えていくコースとがあるのだ。バカ平から行くとnet歩行4時間半、障子を越えて行くなら、net歩行7時間弱だ。

初日は5時間内外の短い歩行がいいのだが、野遊は、障子ヶ岳の雄姿に惹かれ、また、地元の山じいがそう言うなら、きっと魅力的なコースに違いないと思い、初日にしては長いけれども、ふもとで1泊してから歩きだせばいいだろうと思ったのだ。

野遊にとって東北は遠い。しょっちゅう行けるところではない。地図を見ながら、この道を歩き残したら、ずっと気にかかるだろうと。

山じいに紹介された大井沢の「橋本荘」に連絡して宿泊を申し込んだら、なんと月山登山口のバス停まで車で迎えに来てくださるそうだ。

野遊は新幹線で山形に行き、高速バスで月山登山口のバス停まで行き、そこからが未知だったので、路線バスの時間などをさんざん調べていたが、月山登山口から大井沢の原バス停方面に行く路線バスは、1時間以上待たなくてはならなくて、それを覚悟していたのだが、それらが一気に解決してしまった。