朝日連峰 障子ヶ岳 19 「東北朝日気質」

7月18日(月)晴れ

今日はバカ平へ下山だ。昨夜食べた焼肉風の残りがフライパンに入っていて、蓋もされずに出し放しだった。そのそばで写真家さんもMさんもシュラフを抱いて寝ていた。野遊は皆さんの使った食器を洗ったりしたが、天狗さんが「このままでいい」と言うのであとのことはそのままにして二階に行って就寝したのだが、まさか出し放しとは。写真家さんたち、寝ながら先ほど食べた焼肉や、大根の漬物のにおいなど、気にならなかったのかしら。すごいなあ。

もっとすごいのは、天狗さん、人の出入りの足元の、一晩中埃をかぶったその中にナスを切って入れ、火をつけて煮てしまった。大根の漬物も、そのまま食べた。ご飯はお米をといでボンベのストーブで炊きあげた。野遊はナスの味噌煮のようなものを持っていた。登山用乾燥食品だが。(好日山荘で購入したが、震災の影響ということで品数がなくれ選べなかった)それもフライパンの中に入れてゴチャゴチャになった。Mさんは、「このおかず、異常にうまい」と言っていた。すごいなあ。

それと味噌汁だ。野遊は生味噌のパックを持参していたのでそれを使った。楽しい朝食だった。

小屋を片づけて、ゆっくり仕度して出たのが8時。そこへ早くも上から降りてきた登山者に出会う。天狗さん「そこにいい水がありますよ」と、狐から水なしの道を来た登山者をねぎらい、登山者が下山してから林道を歩くと知って、「林道に車を置いてあるので、よかったらに乗ってください」と言っている。ここが朝日の特徴だな!

昨年竜の小屋で、「小寺に下ったらバス便がないし」と野遊が言ったとき、小屋番の遠藤さんが「だれかいるんじゃないの」「言えば送ってくれると思うよ」と言っていたことがあり、野遊は、そんな確実でないことを当てにするのは不安で、話に乗れなかった。

山じいが「山形から登山口まで送ってあげようか」とメールで言ってくださったときも、「そんなそんな、とんでもない」と、恐れ入ってしまったものだが、その話をしたらブルーベリー氏が「送ってもらえばよかったのに」と、こともなげに言っていたが、朝日連峰族の気質というか、これがナチュラルな情感のようだ。関東人の野遊も、ようやくじんわりわかってきた。
「みんな山が大好きなんだ」「おらが山を好きな人が大好きなんだ」
野遊も東北が大好きだ。東北の人々が大好きだ。