朝日連峰、この秋 1 「あの道を歩いてみたい」

この秋、朝日連峰に再び行けるだろうか。
7月に敗退した無念の朝日連峰
その前の年、運よく縦走できたあの登山道。
そこから見た三方境からの天狗角力取山への道。
「あそこを歩いてみたい」と思った野遊の気持。


野遊はひたすら朝日連峰に憧れてしまうのだから、登山できるゆとり(時間や費用や体力気力などなど)があったら、朝日連峰ばかり思ってしまい、それしか浮かばないのだ。
紅葉の季節はいい、と天狗さんたちが言っていたので、計画を立てた。


野遊にとって東北は遠く、どこに行こうか東北。というように気軽に行ける所ではない。野遊の友達も、家族たちもそうだ。野遊が行きたいのは週末の土日だけで行けるところでもないので、だれかと組むのは、なかなか都合がつきにくいのだ。
野遊には山の好きな友達群団もいるが、ショートカットで登って温泉と観光、半分旅行の群団である。ひとり結構登る強い友がいるが、彼女は百名山(深田久彌の)に興味があり、大朝日岳を往復登山しているので、もう朝日を「終えている」。天狗とか言っても通じない。

やっぱり野遊には、朝日はひとりで会いに行くのが合っている。

一般登山は10月が今シーズン最終チャンスで、それもひとつ天候が変わればしっかり冬山、という微妙な季節だ。
で、10月の1,2週あたりの週末周辺を考えていたのだが、朝日は麓までの交通の不便な山で、夏季シーズンのほかはバス便もない。どうやって、どこの麓から入ろうか、あれこれ検討していた。

7月に朝日連峰について問い合わせた野遊にお返事をくださった「山じい」さまは、朝日を守ってきた地元の方々の仲間で、野遊に障子ヶ岳を紹介してくださった方だ。この山じいが、10月下旬に、地元山岳会主催の冬道整備に参加するのに合わせて、1日前から朝日に入って歩きましょうかと声をかけてくださった。

それは野遊にとっては夢のような本当のお話だった。
野遊が「歩きたい」と思った三方境から天狗への道が、その計画に含まれていた。今の野遊には、これ以上の願いなど思いあたらない。