*1322479535*[山]鈴鹿の鋭鋒 鎌ヶ岳  3/no,6 「真っ先に惹かれる」
鎌尾根から鎌が岳に行くのでなければ意味ない。(と野遊は思った)

北アの槍ヶ岳、北鎌尾根を意識して命名されたかとも言われる鎌が岳、鎌尾根。
1月、鈴鹿に仕事を持つ野遊は、その帰り、雪の御在所岳にゴンドラ使用で行き、彼方にそびえる鎌が岳を見た。
それは野遊に「どうだ、登りたいだろう」と威嚇している姿ではなく、あくまでも峻嶺で美しく、静かに微笑んでいた。


魅力的な山がひしめく鈴鹿山脈で、
真っ先に惹かれたのが鎌が岳だ。
あれが鎌が岳。あのギザギザが鎌尾根。



槍ヶ岳も、北鎌尾根から登ってこそだ。
槍穂縦走は、穂高が主張している。穂高それ自体が連峰である。
槍沢は開けた表観光道、西鎌、東鎌はそこだけで充分主張性のある縦走路。
北鎌尾根は、一筋、槍に向かってのびている尾根だ。槍への尾根筋なのだ。

同様にして鎌が岳への登山路は、鎌尾根である。(と野遊は思った)




鎌尾根、鎌が岳は、北鎌尾根、槍ヶ岳のミニチュア版であると聞いた。
ミニチュア版とは、言い得ていると思う。
北鎌尾根の 何分の一 くらいのグレード、とかいうのではない。
グレードは比較にならないというより無関係だ。
ミニチュア、つまり松の大木の盆栽とでもいうのか全部そろっている。



鎖場あり、ガレ場、ザレ場あり、カニの横ばいあり、馬の背渡りあり、アップダウンの繰り返しあり。それらに全部「ミニ」がつく。(でも落ちたら死ぬことに変わりはない)(遭難などの事故もある)


侮れない鎌尾根、楽しい鎌尾根、水沢(すいさわ)峠を越えて水沢岳からようやく姿を見せる鎌が岳は、山肌までは定かではなく、円錐形のシルエットを空に突き出している。鎌尾根を進むにつれて徐々に迫ってくる雄姿。いよいよ近づき、岳峠から見あげる鎌が岳は、四角い箱をびっしりと重ね合わせたような岩壁が壮絶である。

鎌が岳1116M、チャーミングな山だ!