朝日連峰北方 10 天狗へまっしぐら

今回は頂上で長い間障子ヶ岳に語りかけ、景色を充分堪能してから、13:00過ぎ、おもむろに粟畑〜天狗へ向かった。

下り道は優しげで心が弾む。ずんずん障子ヶ池の地点に近づいていく。昨夏の野遊はここで、朝方先に行ったブルーベリー氏に会うのだった。彼は野遊の到着が遅いので心配して水を2ℓ持って迎えに来てくださったのだった。そのことを思い出し、ありがたさと恥ずかしさと無念さが胸にこみあげる。

障子ヶ池に出ると、池はちょっと遠くにあり、茶褐色の水面を静まらせていた。山小屋情報には「死んでも構わないなら飲んでください」と(^_^;)

昨夏の野遊だったら(ブルーベリー氏に助けられなかったら)飲んだだろう!・・・いや・・・どうかな・・・この水面を見たら、沸かしても飲まなかったかもしれない。でも渇していたら飲むのだろうか。喉元過ぎればというが、今の野遊には考えられないことで、人間とは現金なものだ。

今、水もお茶も有り余るほどザックにある。第一あんなに水を飲まない。あの日以来のトラウマで、野遊は昨年11月に鈴鹿の鎌ヶ岳に行ったとき、数時間の日帰りなのにハイドレーションまで持っていき、同行者に失笑されたものだ。ハイドレーションを持つようになったのは、あの山行以来だ。

粟畑に着いた。ふり返る障子ヶ岳の雄姿よ!水をくださったブルーベリー氏と、あとから追いついてきた小屋番の天狗さん方とともに眺めたあの日の障子は、今日も同じ、美しい三角に聳えていた。

そこから緑のモールに包まれたような道を、天狗角力取小屋にまっしぐら!
(緑に包まれた障子ヶ池が茶褐色に浮かぶ。向こうの三角が障子ヶ岳)[