朝日連峰北方 24 以東岳

やったぁ以東岳だ。ヤッホー♪
おおおこれは! またまた新しい道標登場。真っ先に目に飛び込んできた。
寒江山にあったのと同じ、木肌の1本柱に、こげ茶に塗られた板が貼られてあり、白いペンキの文字が書かれてあった。これは北寒江山の道標と違って自筆だ。
登った正面に「←以東小屋」「→オツボ峰」。これはわかりやすい。(でも、まずは「以東岳」ではないのかなぁ)そして右側面に「←狐穴小屋」。おお、わかりやすい。わかりやす過ぎるほどわかりやすい。もう、これでもかというほどだ。

そしてすぐ近くに、もう1本、やや傾いた、古い感じの道標があった。それは今までの(野遊がわかりにくいと思っている書き方の)スタイルで、オツボから来た側に「オツボ峰、大鳥」と白く書かれてある。あれ、道標が二つも。
元々二つあったようだ。新しく思えた1本は、こげ茶の板が上半身に貼られて、わかりやすく書き直されたような感じだった。

野遊は竜の小屋の遠藤さんに、「以東からの下りが、ガスで足元しか見えなかったのでわかりにくかった」と言ったことがあり、「それなら来るな」と言われても仕方なかったことなのに、遠藤さんは穏やかな御仁で、ちょっと首をかしげてそこを思い浮かべる目つきをして、「そうですか」と答えてくださり、そのあと「今度機会があったら言っておこう・・・」と独り言のようにつぶやいたことがある。
あれは、以東小屋の夏バイトの学生番人さんが「以東岳には下りの入り口に道標がありますか」という野遊の問いに、「ありますよ」とだけ答え、戻って探して(道標なので立っているものを探した)時間を費やしたのだが見当たらず、何やら書かれてある足元の石を立ち込めるガスの合間から探し出して、ほぼ消えかかっている文字から「狐穴小屋」を判読した、そのことを話したのだった。

こんなに明確な道標があるのだったら、あんな余計なこと言わなければよかったな、それとも・・・などなど考え込んでしまった。

この古い道標、野遊は最初に見たかもしれない。でも意味がわからなかったのだろう。これが狐への道だと書かれていなかったように思うのだが。(書かれてあったら迷わないだろうから)。それとも野遊の目が大事なものを見落としていたのだろうか。謎だ。


以東岳は大きな遭難碑もあり、立派な三角点あり、ひなびた道標あり、リニューアル道標あり、人為的なものが散らかっているような山頂だったが、ほぼグレートアウトしたような日、初めて来た人は助かる。アットホームでフレンドリーな感じもした。

もっと景色を眺めていたかったが、野遊は時間が気になって歩くことにした。

そのまま足下の以東小屋へ。到着は17:00。予定を1時間遅れた。