朝日連峰北方 30 朝日屋旅館

ryo-rya2012-11-02


朝日屋旅館に着いた。広い間口の玄関に入って靴を脱ぐと、ロビーのソファーを勧められた。ザックを脇に置いて座ると、氷入りの麦茶が出された。わあ、うれしい。

野遊のうしろに若女将さんが立ち、運転してくださった女将さんが横にしゃがみ込み、カウンターの向こうにはご主人の佐藤さんが立って、野遊の話を聞いてくださった。
「ふうん、それからどうなった?」「以東小屋はどうだった?」と、子供をあやすように話を促す。まるで親に話している気分だ。「手が」と野遊は腫れた手を見せた。

そこに、明日以東小屋に泊まる予定の先着の宿泊登山客が混じって、水場はどのくらい遠いか、道しるべはあるかなど聞く。朝日屋さん方の前で、や、野遊に聞くなんて〜野遊の返答を、3人の朝日屋さんがフムフムと耳を傾けていた。

たった一人の登山客に、こんなに対応してくださる朝日屋さんは、ここに登山口があった昔から、朝日の北方を守ってきたのだ。
野遊の昔の山岳部の先輩たちも、きっとこの朝日屋さんのお世話になっている。
この朝日屋さんから出発し、キスリングを背負って、彼らは泡滝まで歩いたのだ。
朝日屋さんが、釣り人はじめ多くの登山者から慕われ続けてきたことがよくわかった。

それから入浴した。温泉地帯ではない。でも大きなお風呂で、手足を伸ばしてくつろいだ。男女交代で、そのあと渓流釣りの人が数名到着して入浴した。
それから夕食までに時間があるので、ザックの整理をして、登山靴もきっちりパッキングしてしまった。手にはポシェットを持ちMy草履、もうザックは帰宅まで開けない。

夕食は呼ばれて階下に行く。缶ビールを一つ購入して、明日早立ちする登山者と話しながら食事した。渓流釣りの人たちは隣のテーブルだ。
食事中にご主人が入ってきて、「釣れましたか」と聞いている。やっぱり温かいな〜
ご主人は釣りが好きみたい。
久しぶりにおいしいものをたくさん食べて、体もさっぱり、気持いい浴衣を着て就寝だ。