裏剱(4)出発 10月7日(土)一時雨、曇り、後半晴れ

集合場所に毎日新聞旅行の青い旗を持った添乗員さんがいて、まずは一安心。
ところが22時15分の集合時間になってもバスが来ない。
22時30分になっても来ない。40分になってもまだ来ない。

バスの遅れは、最初にこちらに向かったバスが、何か不具合があって、運転手さんが引き返して交換したそうだ。

風の吹きつける道端で待っている参加者たちを気遣って、添乗員が空いているバスを仮の居場所として待つように手配してくれ、ザックを道路に置いたままバスに乗り込んだ我々は、さらにしばし待った。

ようやくバスが来て、荷物を載せ、指定の席に座ってもバスが出ない。運転手は2名で、双方の手違いから、もう1名の運転手は電車で車庫まで行ってしまい、今、改めて電車でこちらに向かっているのを待っているとのこと。
今回は、現地のバスターミナルが開く時間までにゆとりがあり、間に合うからいいが、登山に差し支えが出ることもあるだろう。たまたま今回困らないからいいというものではないと思うのだが、運転手さんは我々に一言も挨拶しなかった。来るが早いか乗り込んで、すぐに発進した。遅くてもいいなら、最初から集合時間を、もっと遅くしてほしいものだ。

添乗員が行程説明と自己紹介をしたが、その折に、待たせたことへの簡単な挨拶はあったが、それは説明の流れに一言、差し挟んだような感じのタッチだった。

添乗員が悪いのではないけれど、時間厳守で集まった顧客に対して、いかにも雑な所作ではある。野遊は毎日新聞旅行のツアーしか知らないが、以前も何度かこういう体験をしている。(登山中ガイドが滑って落ち、登って来るまでに30分以上寒い中を鎖につかまって待っていたときや、ガイドと添乗員の連絡が不行き届きで、後ろの組が違う道を降りてしまい、行き違ったため帰りのバス発進が40分遅れたときなど)。
いつも彼らは一応さりげなく謝罪らしき言葉を口にするが、すぐに忘れましょうよといった感じで、いかにも心ない。

参加者はこれからお世話になる身だし、まだ互いに会ったばかりの仲だし、難色を示す小声の会話が聞こえたくらいで、表立ってだれも文句を言わないが、けじめというものがないというか、テキトーにあしらわれているというか、煙に巻いてごまかされた感じで釈然としない。
日本人はこういうとき、誠意やけじめを重んじながら、信頼度を深めていく民族なのだ。
23時30分、堂々と1時間遅れのバス発進だった。