裏剱(12)池の平

分岐が近づいてくると、ガイドは添乗員K氏と相談した。仙人池ヒュッテに着いてから池の平に行く予定だったが、時間が迫っているので、仙人峠の分岐から直に池の平に行くことにしよう。で、だれが池の平に行き、だれが仙人池ヒュッテに直行するか。明日の体力温存のためと、一行の歩行速度を妨げないために、参加しないほうがいい人がいると思うので、まずは自主性を重んじて聞いてみたらどうだろうかと。

仙人池ヒュッテへの直行組に付き添う者は、ガイドか添乗員となるのだが、ガイドに「どうしますか」と聞かれたK氏は、「(池の平に)行ってもいいですよ」と答えた。
ガイド「じゃあだれがヒュッテに付き添うの、俺?」と言う。
こういう場合、本来なら女性のHさんがヒュッテ直行組に付き添うのが妥当なのではないかと思うのだが、Hさんは名乗りをあげない。

ガイドがヒュッテ直行組についたとしても、ここからはわかりやすい豊かなコースとなり、添乗員2名で何も困ることはないのだ。
スタッフたちはだれも直行組に付き添うと言わない。
あなたがたスタッフなの顧客なのどっち。