裏剱(30)阿曽原小屋出発の朝

4時半に添乗員K氏と顧客1名は先立ちし、我々は5時半の出発だ。朝食はお弁当で、途中で時間をとることになっていたのだが、女性たちは出かける前にすませておきたいと意見が一致して、4時に起きて準備を始め、5時前には布団をたたんだ部屋で、各自お弁当を喫した。こうするとお弁当の入れ物は、小屋に置いて行けるのだ。

これはツアーに参加してきただけの人たちが、ただガイドたちの言うことを鵜呑みにせず、独学で習得したことだ。女性たちはこういった細やかなところで自ら工夫、向上している。中にはジブロックを何枚か持ってきて、小屋の昼食の中身を入れ、入れ物を小屋に置いて行く人もあった(昨日の昼食)。

気象情報朝方は雨、外は小雨が降っていて、まだ暗かった。今山行で初めて雨具を装着する。スパッツを締める手がかじかんでいた。下にもっと何か着たいな、と思ったが、いつ休憩が取れて着替えられるかわからなかったので、まずは寒いまま歩くことにした。

たしかに。こんな中どこかにしゃがみ込んで朝食を摂るよりは、出発前にすませておいてよかった。

先頭のガイドはヘッドライトをつけていたが、山の向こうが微かに明るくなり始めていて、足元は見えた。歩き出すと、どんどん明るくなってくる。雨が止んだ。