温泉から温泉山行 15 花、花、花

 8月18日(日)白馬山荘5時40分発

朝食はお弁当よりも、ちゃんと座って温かいお味噌汁やお茶を飲んでいきたいとゴスケが言い、賛成して5時に食堂で朝食。
ガスが立ち込めているので白馬登頂はやめて、昨日登ってきた緩やかな旭への道に入っていく。
視界がきかず、初めてだったら道もわかりにくかっただろう。昨日歩いておいてよかったと思った。
旭岳を右上に過ごし、いよいよ長い下り尾根に入って行く。
ガスが少しずつあがっていき、小旭岳の頂上が見あげられた。怖いような岩峰だ。

ここでソロの男性が追いついてきて先に行く。村営山荘から来た人だそうだ。
あとで知ったが今日、この道を降りるのは彼と野遊たち3名だけだった。

清水(しょうず)峠を行く。
「苦多くして楽しみ多し」という祖母谷の名文句が書かれてある看板を見る。

草原帯に入り、この世のものとも思えないお花畑に目を奪われる。

色とりどりのあらゆるお花が、埋め尽くされた緑にくまなくちりばめられ、まるで狂ったように咲き競っている。

1種類の群生もすさまじい。山腹1帯、黄色の滝が流れているようなニッコウキスゲ。見渡す限り大楽隊のようなコバイケイソウ
綿毛のチングルマの群れ。透明がかった白と薄赤を縦縞にしてフックリと露を含んだ綿毛は丸い提灯の群れ。こんなに豊かな姿をした綿毛は初めて見た気がする。すごくきれいでかわいい。そして不思議なことに、綿毛の広場の隣には、咲きだしたばかりのような若やいだ瑞々しいチングルマの花が、白い絨毯を敷き詰めている。その範囲の広さ、量の多さ!

小さなお花の草原を抜けると、大きなお花ばかりの地帯に出て突然植生が変わる。そのたびに天から鳴り響くファンファーレを聴くような気がした。
クルマユリ、オトギリ草、ウサギ菊、ギボシ、シシウド、トラノオ、イワカガミ、シオガマ、ヤマハハコ、マツムシ草、コマ草、トリカブト・・・

野遊の知っているお花たちが、オールバージョン勢揃い、これでもか〜というほど登場してきて、もう無我夢中。

知らないお花も続々登場して、それこそ「秘密の花園」に踏み入れてしまったという感じの世界だった。
ひとつひとつ、なんと高貴で可憐なのだろう。こうも惜しげもなく咲くのか。
観る人も少ないこの深山で、風の流れのままに咲き、空気のままに散っていくのか。
行けども行けどもお花畑。

(写真を載せたいけれど、ああダメ、どの1枚も、実際の百分の一にも満たない。かえって伝えられない気がして…)