十勝岳 7 大きくえぐれた「雨渓」

稜線に出ると向こう側の景色も開けて、大パノラマとなった。
目の前の山腹は、岩と土がダイナミック?に削れた、幾筋もの側溝のようになっている。豪快なのだが悲惨でもある。

これは雨の後で「雨渓」というそうだ。雨の通る道なら雨経なのだろうが、この削れようは、まさに雨渓だと思った。ガイド氏は、「毎年削れ続けて、どんどん崩れています。ここ数年でも、ずいぶん景観が変わりました」と言う。

豪雪が山を削りながら解けていき、そこが雨の道となって流れるのだろう。朝日連峰も飯豊連峰も、これで姿かたちが変わってきているが、北アや南ア、どこの山もその場所の特徴を以って自然という猛威の前ではどうしようもない。

そこに人災が加わる。水力発電も・・・どうしようもない。
せめて登山者が山を大事に、大事に思って登らねば!
いっそ登る人がいなくなればいいのではあるけれど、だれにも登られない山も廃れていくようで寂しい。
最近登山道のゴミが少なくなった。何よりだ。でもまだまだ意識を届けるべきことがある。今回も、普通の山道なのにストックで足跡と同じ数でツンツン突いている人たちがいる・・・(思いはじめると切りがないのだが)

はるか上方からなだれ落ちるような雨渓を見あげながら、一行はその左手のなだらかな道を十勝岳の頂上に向けて歩いて行った。