北アのゲートキーパー焼岳 4 松本城

14時、ゴスケと野遊はバスを下車して松本城に向かった。ザックは背負ったままだ。駅に預けたりする寄り道時間がない。そんな気忙しい中なのに、ここは松本だと思うと、懐かしいような恋しいような歓喜が胸に突きあげてくるのだった。

さて松本城は、連休だからか猛烈に混んでいた。過去2回とも、ゆっくり見学できた野遊は、このお城もこんなふうに混むことがあるのかと驚いたものだ。

上階へと階段を昇るのが列に並んで順番待ちなのだ!上に行くほど階段は狭くて急になり、気をつければ2列(登りと降り)になれるような幅はあるのだが、降りの観客が足を降ろせなくてモタモタして、そのたびにじっと待たなくてはならなかった。

ベネズエラの観光団体が何十人という大人数できていて、男女ともかなり大幅な体躯の人が多く、ド派手な衣装を身にまとったおじさんは、肉体が階段からあふれそうだった(^_^;)小笠原貞慶石川数正は、この光景をなんと思うかな。

こんな感じで最上階の天守閣までたどり着いたが、降りはもっと混雑して進まない。ベネズエラ団体が何を思いながらこのお城を見学しているのかは知らないが、野遊は、せっかく楽しみにしてきたゴスケが気の毒な気がした。けれど、ゴスケは見学できたことで満足できるタイプのようで、下に降りたとき「よかったねぇ〜」と言ったのでほっとした。

ベネズエラの人たちは陽気で明るくて、庭に出てから楽しそうにしていた。
この日本旅行が、どうぞいい思い出となりますようにと野遊は心で思った。