ヒマラヤ山行(31)ゴーキョ・ピーク Gokyo.re Ⅱ「すごい丘、これがヒマラヤだ」

ryo-rya2014-05-24

ゴーキョ・ピーク5360mは遠くから見ると黒い丘だ。ゴーキョから見あげても丘だ。周囲に錚々たる名峰の数々が聳え競っている、その手前の突起であり「何これ」という感じなのだが、もしこれが日本にあったらもう断トツ日本一なのだ。でも、どうも富士山よりはるかに高い山という気がしなくて、野遊は不思議感覚に包まれた。丘よね〜丘よね〜あれってやっぱり丘だわと。

登りは視界の開けた広い山肌になっている。そこはもうヤクもゾッキョも来ない土と岩の登山道だ。普通に傾斜がかかっている、わかりやすい、いい登山道だ。なのにどうしてこんなにゼーハーゼーハー。深く呼吸すると楽になるけれど、冷たく乾いた空気に鼻奥の粘膜が切れて、鼻をかむと鼻血が鼻血がゼーハーゼーハー。朝食べた梅干し1個とプルーンゼリーとソイジョイ1本、がんばってねゼーハーゼーハー。
高度が増すにつれて、向こうに見える山の頭がだんだん姿を現してくるゼーハーゼーハー。あ。と思う。心がときめくゼーハーゼーハー。見たいけど見ない見る余裕ないしゼーハーゼーハー。あぁぁぁぁ〜お腹が〜ぎぼじわるぃ〜ゼーハーゼーハー。

それでも休憩を入れて3時間半くらいで10時過ぎ、ピークに立った。
丘に登って、みんなでやったやったと喜び合う。だから「すごい丘」だ。カラパタールとゴーキョ・ピークって、世界一すごい丘なんじゃないの。5000m台の丘。世界で何百番目何千番目の山ではなく、世界最高の丘!

不思議なことに、行動を止めたら苦しいのも止まった。空気の薄いことも別に気にならなかった。上着を羽織り、岩に腰かけて絶景を眺めた。こういうときにオニギリとかサンドウイッチとか食べたいのよね!と、先ほどまでの気持悪さも忘れて、いい景色を見ながらお弁当を食べるのが習慣的セットになっている野遊。

タルチョはためくゴーキョ・ピーク。タルチョって強いのね。オカリナを持ってきたクライアントが岩に腰かけてSimon & Garfunkelの曲を奏でた。うん、い〜ですね〜♪ みんなで写真を撮り合う。「寒くなるので出発しましょうって言わないでね」「言いませんよ、ゆっくり楽しみましょうね」と、神のような鬼リーダー。

このとき鬼が、じゃなくて神が撮ってくれたエヴェレストを背景とした野遊のショット、一生の宝物だわ。合成写真じゃないのよね、本当にここにいるのよ。神鬼神鬼ありがとう!

この丘のピークに立って360度開けた視界を見渡す。
Gokyo.reⅢ その「Beautiful view」に続く。