ヒマラヤ山行 (42)番外編 ネパールを思う Ⅴ「政治家たちって・・・」

ネパールに、良き為政者がいればと思うが、ネパールの政治家も、国民たちと意識が同一線上にあって、裕福になればさらに、自腹を肥やすことにばかり精を出している。
ヒマラヤ街道も、学校や吊り橋や水力発電所など、他国が援助して発展した生活文化はそこここにある。けれどネパール政府は援助を受け取って浴び続けるだけで、そこから自力でさらに発展させようという向上心、研究心がない。
道路が壊れても、早く気づいてくれないかな、まだ直してくれないのかと、国民はじめ政治家たちも、こういう受け身の姿勢を取り続けて先に進まない精神。

政治は、いかに他国から援助を引っ張り出せるかに汲々として、それに成功する人物が、ネパールでは立派な政治家とみなされるのか。政治家たちにも世界観がない。

日ネの親交協会、友好協会といった団体が日本にいくつかある。ネパールで貧しい暮らしをしている人に、なんらかの救いの手を差し伸べたい、そして仲良くしたいという主旨を以って運営されているようだ。賛同者は会費を払って仲間になれる。けれどそれも大抵は、日本側からのほぼ一方的な行為であって、ネパール側からの働きかけはごく少ないようだ。あったとしたらそれは何かをしてほしいという要求だろう。

ネパールは海もないし、何か採掘できる鉱山もなく、資源の乏しい国なので、国民に仕事が行き渡らなくて貧しく、働き盛りの国民を出稼ぎにどんどん輩出しているのでさらに貧しく、ただただ観光産業に頼っているばかりだ。その観光産業頼りについても、登山料の値上げや国立公園の入園料の見直しだとか、そんな分野のことばかりで工夫がない。だから貧していくのだ。考えてみれば物価の低いネパールで、それだけ膨大な登山料を取るなら、もっと何とかなりそうなのだが、政治家たちは一体何に使っているのだろう。ずいぶんな金額が彼らの私腹を肥やしているのだろう。レベルの低い世界だと思う。

政治家たちが環境問題を意識しても、では登山者が一人ゴミを何キロ担ぎ下ろすことを義務づけようなどと、内容が理不尽! 実際に登山を知らない側が何も知らずに暴言を吐いているようなものだ。

観光産業に力を注ぐなら、世界一の山岳帯を持っている国なのだから、もっと遠大に先を見通して、観光客登山客から徴収した多大なる料金の運用として、崩れゆく自然への環境保護に力を注ぎ、各国から来る人々が快適に過ごせるような研究をして改善する。例えば垂れ流し同然の糞尿の処理としてバイオトイレを建設する。といったようなことに着眼し行動したら、進歩発展につながるだろう。
観光客も登山客も、ネパールが不便で暮らしにくい国だったとしても、それごと愛し憧れて、何しろこの世の最高峰を有している国に出向いて行くのだが、国が自然を豊かに保護した状態で迎えられたら、各観光地を大切に思いながら歩く気持もさらに湧き、今よりはいい循環が得られるのではないだろうか。
となれば、国民の仕事も増える

貧しいからとそれに甘んじないで創意工夫を凝らすことができないのだろうか。そして自力で、あの埃まみれの首都を何とかしたらどうよ。

カトマンドゥの土埃のすごさはどうだろう! 道路は舗装されてあっても、その両隅は土と砂とゴミが渦巻いているではないか。風が吹くとそれらが舞い、強風の日は道路の行く手が見えなくなるほどだ。まさにグレートアウト。そして時々飛び交う異物がどこかにぶつかってドンガラガッシャン!!と怖い音を立てる。街とは思えない。
そこを人が平然と歩いているのがまたすごい。最近はマスクをするほど文化的になったようだ。かの地は黒いマスクだ。それは汚れが目立たないので何度も使用できるからだそうだ(>_<)。

野遊はこのすごい光景を、移動バスの窓から見た。野遊には地獄絵図だった。

電線なんて本箱より大きな塊になってグチャグチャにこんがらかっている。汚くて怖い光景だった。

歩行中、あんまりじっとカメラを構えていると、警官が来て止めに来るからとガイドさんに言われた。それは、バッチィ我が国を他国に見せたくないからだそうだ。

                     *次回は「泥棒」*