Sureshの夏 4 エアチケット

シュレスが日本に来て充分過ごして帰国するまでの宿泊、食事、旅行などをすべて野遊側が賄えば、これが一般的な常識のご招待に値すると思っていたが、だんだんそうではないことがわかっていった。シュレスは足賃を支払う気はないのだった。

それは自分から日本に行きたくて計画を立てたのではないから、誘った側が交通費もすべて賄ってくれるものという考えのようで、それに彼にしてみれば、収入を得る仕事(出稼ぎ)のための出費以外の、まとまった出費は、どんなに有意義な体験ができようとも無意味なのだろう。

日本国からカトマンドゥ発のラウンドチケットを購入するのはとても大変だ。日本発のチケットなら探しやすいのだが。手助けしてくださるL氏の存在は大きかった。
フライト代は高い。日本からカトマンドゥに直接行く便はない。以前はあったそうだが、採算が取れないのか(そうは思えない)会社の諸事情によるものか。

L氏がラウンドチケットを取ってくれる段階に入り、最安でお願いしていたのだが920ドルだった。これは相当安いのだけどL氏が当初「700ドルで買えることがあるので探してみます」と言ってくれたので、それを期待していた野遊には、ちょっと高いと感じてしまった。

それはカトマンドゥからクアラルンプール経由成田着の便だった。シュレスがマレーシアに出稼ぎに行くのを中断して日本に来るのに、マレーシアに寄ってくるのは何となくイヤな気分だったし、羽田着ならすごく便利なのに成田とは、高速バス代も1000円台と3000円台の差があるほど距離が遠い。

野遊は不遜にもL氏に、どうして当初そちらが言っていた価格のチケットではないのかと聞いてしまった。するとL氏は早口で何やら一生懸命説明をした。この言葉が聞き取れなかった。言葉の壁で野遊はいろいろな個所で残念なことをつくった。