シュレスの夏 13 お手伝いをする子

ryo-rya2014-10-01

野遊が洗い物をしていたら、シュレスが横に立ち、自分が洗うと言った。いつもやっているのだと言う。これはトレッキングのキッチンボーイとしてなのか、家でも食器を洗うのだと言っているのかどちらかな。

野遊を押しのけるようにして流し台に立ち、スポンジにたっぷり洗剤をつけて、ゴシゴシ洗った。狭いキッチンはたちまち泡だらけになり、ダイナミックな洗い物風景となった。シュレスは油汚れの食器も先に洗い流すことなく、同じスポンジでザクザク洗う。泡泡泡で、ゆすぎも、まるで床が石畳かのごとく、濡れても水で流せばいいよというふうな洗いぶりだった。

食器はシャキッときれいになって洗い物置き場に積まれたが、野遊から見るとどうもゆすぎが足りない。洗剤が洗い流され切っていないのが気になる。シュレスが座をはずしたその間に、急いでもう一度、お湯でゆっくり洗い流したりしたものだ。それからビショビショの床も拭いた。

シュレスは食後、それからいつも、洗い物は自分の仕事とばかりに流しに立とうとした。ゴスケはここの泡だらけ水浸し風景を目撃しているので、自分がやると言いだす。
Suresh「I can」
ゴスケ「いいんだ、これは僕の仕事なんだ」(・・・は?)
Suresh「I can, I can」
ゴスケ「だからいいんだって。君は洗剤を使い過ぎて、周囲が泡だらけになるし、それは体にもよくないしね」(わかるか、日本語で!)
Suresh「I can, I can」
ゴスケ「いいんだってば!だからさあ、アイドゥ、アイドゥ、イッツマイジョブなんだってば」

その語調の強さにシュレスは怒られたと思ったのか、ちょっとしょんぼりしてしまった。
野遊はいちいち仲介役になって気を遣うと切りがないというか、結局野遊の子供たちを育てていたころの二の舞になるので、声をあげて笑ってしまいはしたが、口出しはしなかった。
そしてシュレスを呼んで、また日本語のお勉強。

理解できるように説明するってのは、相手以上にこちらがしつこく理解しちゃうものなのですね。何度、何十度、何百度、野遊はこのとき日本語を学んだことだろう!!!