シュレスの夏 17 光genji のDVDを観る

ryo-rya2014-11-18

次の日、L氏に国際電話を入れたが、彼はたいてい忙しくて電話に出られない。留守電ではないのでメッセージは入れられない。何度かかけたのだけど話ができないまま1日が過ぎた。

シュレスは「Call him?(電話した?)」と、たびたび催促してくるし、野遊、本当に電話しているけどかからないのだ幸いなことに(^_^;)

もうシュレスの目の前でかけてもみた。「出ないでねLさん!」と、心で祈りながら。野遊が祈るとL氏は出ない。ありがとうなんて思ってしまう。

シュレスったら、野遊の姉夫婦が彼のために車で我が家に来てくれて、4人で城ケ島に行って、岩から岩に伝ったとき、ちょうど台風が来そうで海が荒れていて、でも、初体験の景色に、「Oh, Suresh! I never forget it!(おうシュレス、決して忘れないよ!)と、両手をあげて叫んで、あんなに喜んだのに、これからもいろんなところに連れていこうと思っているのに、なんでなんで帰りたがるの。

その夜、野遊はシュレスに、もう一度お話ししてみた。あと2週間だけど、一生のうちの2週間を、ここで過ごしてくださいと。言いながら野遊は涙ぐんでしまった。シュレスはこれにはちと困ったようで、「I'm stay here(ここにいる)」と言った。そして「 I'm enjoying now(今は楽しんでる)」と。

野遊はシュレスの心情を理解する歩み寄りの心を敢えて持たず、とにかくうれしくてテーブルの上のシュレスの手を、両手で包んで泣いてしまった。思えばシュレスに触れたのはこれで二度目だ。一度目は藤沢駅で再会したとき、「シュレス!」と駆け寄って思わず双方で抱き合ったこと。一瞬だけどね。

シュレスは嫌そうに、テーブルの上の手を引っ込めた。なんなんいじわる(ー_ー)シュレスは野遊を好きじゃないのだ。でもシュレスを即、帰国させずに済んだ。


♪言わないで言わないで さよならは間違いだよ 何もわからない同志 そんな日もあるよ♪

なんて思ったのでシュレスが退屈しないように、野遊の部屋に招いてPCをいじらせてあげることにした。まずは光genjiの『ガラスの十代』のDVDをふたりで観た。
♪戸惑う気持で行ったり来たりさ光と影を。壊れそうなものばかり集めてしまうよ♪で、きっとシュレスが帰国するときは、ふり返って「あの三週間はよかった」と思える期間にしようと思った。
♪押しつけの愛でもいい真実の愛なら 心には嘘はないよ なくさない君を♪ 

野遊はシュレスのためを思ってこういうことをしているのではない。野遊がシュレスにいてほしいのだ。でもシュレスにも、せめてプラスになるようにしたいと思う。そしてひたすらシュレスに良かれと思えることを考えてしまうのだ。どうしたらシュレスは喜ぶかな?