Sureshの夏 28 おみやげ

甲斐駒から帰った次の日、8月24日は、シュレスの我が家にいる最終日だ。明日の夜、成田を発つ。
今日はどこにも出かけない。洗濯物をたたんだり、荷物の点検などに結構忙しい。
シュレスはこの3月、野遊が参加した西遊旅行のツアーで一緒だったガイドとコック長と、シュレスと同じ役柄を担当した友だちなど数人に、この日本行のことを話したというので、野遊は彼らにそれぞれお土産を用意した。それと、デウサ在住のシュレスのご両親、カトマンドウ在住の親戚など、シュレスが話す周囲の人々全員に、それぞれお土産を用意した。たいていは菓子折り。中はクッキーや豆菓子。ほかに小物や日本のお酒など。

昼前に下の姉が訪問してきた。姉はシュレスのご両親に菓子折りや、ガーゼのきれいなハンカチをいくつも持ってきて、シュレスは姉が「これはこうしてね」と言う指示を、子どものようにうなづいて聞いていた。

ランチタイムに上の姉が訪問してきて、おいしいものをどっさり持ってきた。

上の姉は、今日が最後なら、お勉強はかわいそうだからやめて、一緒にお食事したりおしゃべりしましょうと言う。下の姉は、今日が最後だから、とれるだけの時間を目いっぱい使って日本語の学習をしましょうと言う。

ゴスケは夏休みも終わって出勤。姉二人とシュレスと野遊の4人でランチのあと歓談していると、下の姉が、用事があるなら早く済ませて学習時間をあけるように要求するので、上の姉はシュレスにお土産を渡してお別れの挨拶をした。

それは姉や、その娘たちがが昔使っていた装飾品類だった。貴金属類ではないが、ネックレスやペンダントなどが小箱にいっぱい入っていて、野遊も「わぁきれい」と声をあげるほどだった。姉は惜しげもなくシュレスに箱を差し出し、お年玉の袋に千円札を入れてプレゼントし、シュレスを正面から抱き寄せて「かわいいわねえ」と言った。

上の姉が帰ってから数時間、下の姉とシュレスはみっちり勉強した。ほとんど暗くなり、ゴスケも帰ってきて、4人でトンカツの夕食を囲み、夜道の運転を嫌う姉が一人で平塚まで帰っていった。