縁猫(8)延命治療か安楽死か

ほんのわずかな就寝時間に急いで外出し、急いで帰宅して生きているかを確認する。この子と離れているときはホッとする。それでいて心のどこかがズキズキする。会いたいからウキウキして帰宅するのではなく、どんよりした重い気分で、恐る恐る帰宅する。またあの格闘をするのか…疲れた。身も心も傷だらけ。野遊、老いたにゃあ。

小鳥くらいの餌量でも、前向きに食べてくれるならまだしも、嫌がるものを押さえつけて無理やり食べさせるのは、時間も労力も精神力も要る。
嫌がっても食べさせられるならまだしも、なかなか拒否行為が力いっぱいで、それでいて仰向けに転がると、向きをくるっと変えられずに、ひっくりかえっているだけ。

生後1か月以上しているというのに、体重も160キロにまでなったが止まったまま。もう300グラムくらいになっているころなのに。

点滴した針の跡が傷になって腫れ、しきりと地を掻く前足の爪が根っこからポロッと抜け落ちる。膿んで腐ってバイ菌が前足の骨を犯し、瘤のようになっている。


まるで飲み足りていないので、日に何度でも、鳴けばミルクを作って与えるが、ミルクタイムは1時間かかり、くたくたのボロメタで、猫も疲れ果ててひっくり返っている。何か残酷なことをしている気分。影武者に見つけられぬまま、カラスの餌食になっていたほうがよかったのかもしれないと思ったりする。

病院で、先生に話をして、この子は生きられますか。もしどうせ生きられないものを無理に生かしているのなら、そしてやがて死ぬのなら、安楽死させてやってほしいと言った。