千の記憶(4)エーだイーだ

我が家は庭があって門があった。長方形の石柱の門。そこに立って、通行人に「エーだ、イーだ、ポン助だ」って大きな声で言ってごらんとアネにけしかけられて、わけも知らずにやった記憶。小さい子だから叱られないだろうということか。エリが人見知りしないでいつも平然?大々?としているのがおもしろくてとか、母から聞いているが、それを遊んだということか。

姉は門の陰で、向こうから誰か来たわよ、やってごらんと小声で言い、エリはそんなことできるもんという気持ちで声を張りあげた。背の高いお兄さんが通って、こちらを見て「え?ポン助?」と笑顔で言ったのを記憶している。立ち止まるでもなく通り過ぎて行った。

あとで姉は母に、こんなだったとか笑いながら話していた。あの時の雰囲気を覚えている。なんかエリは自分がからかわれているなあと知っていた気がする。それでも尻込みしないでやってしまう自分に少し得意になっていた気がする。

この話は、そのあと、時々姉がしていたので、マチも記憶にあるようだ。

最近(2023年)、親族ラインでやり取りしていた折、エリはこんなところがあったなどという話に、門に立って通行人にナンタラ…というところで、マチが、あれはエリが勝手にやったと思っていたと発言。

エリはキカン気で、突拍子もないことをしでかすところがあり、しかもアマノジャクな子だという観念が家族の間にあったようで、そういう面はあったのかもしれない。エリにはわからないから肯定否定できない。