大黒屋光大夫を辿る旅 25 白夜の語らい

ホテルに戻る。怪我をされたご婦人と、彼女の同室の友をねぎらいたくて、野遊はたまたまエレベーターで乗り合わせた数人の友に、ちょっとだけ彼女の部屋に寄りましょうかと提案した。みんな賛同してくださった。怪我婦人だけでなく、同室の友も心細いかなと思ったのだ。

10分ほど寄った。みんなで励ました。同室の友は和服姿で会食されたので、着物を脱ぐのを手伝い、たたんで、何かあったらいつでも電話してくださいと言って別れた。

スタッフ2のサッちゃんが、散歩に行くと言うので、野遊は一緒について行った。この白夜、歩いてみたかった。でも単独行動は、野遊は姉から厳に戒められていたのでできなかったのだ。サッちゃんは海外に慣れていた。

近くの喫茶店で、大きなガラス越しに眺めるサンクトの白夜!
いっぱい話をした。このときの話は忘れない。
サッちゃん、ありがとう。