大黒屋光大夫を辿る旅 28 ピョートル宮殿

予約してあるレストランで昼食をすませ、午後はペテルブルグの南西にあるピョートル宮殿を見学した。ピョートル宮殿の館内は撮影禁止だ。
宮殿の大きな窓から噴水の庭園を眺めると、噴水からそのまま川になって、まっすぐ伸びた先、はるか向こうは海だ。バルト海フィンランド湾だそうで、そのまた向こうにうっすら見えるのがフィンランド

大規模な噴水、金色の彫刻が噴水の真ん中にいる。女神でしょうか、女性像もあるが、男性像は何やら戦っている。素裸でライオンの口を引き裂いているサムソン(旧約聖書に登場する怪力サムソン)の像は、野遊はあまりいい気持がしなかった。ライオンは悪者を象徴しているつもりなのだろうけど、痛そうでかわいそうだし、第一サムソンは、なんでまともに素裸で外にいるのだろう。

出入り口には露店が並び、野良犬?が何頭もいた。放し飼いかも。どの犬も静かでいい子だった。

夕方、デカプリスト広場に行き、ピョートル大帝の像を見る。大帝は乗馬し、馬は前足を高く上げている。後ろ足はとてつもなく大きな蛇を踏んでいる。台座の石は1枚石で、なんと1600トンもあるそうだ。でもこの馬の尻尾が、彫刻得意のロシアの国で、一体どういうつもりが、全然本当らしくなくて笑えた。


ここで記念撮影をしようということになった。アリスが像の横に並ぶように言うと、団長は像の前に並んだほうがいいと示唆した。それは、馬が足を高く上げたすぐ下の位置で、たしかに構図がよかったと思う。でもアリスは、馬が蛇を踏んでいるところが映るほうがいいと主張して、結局アリスに誘導されて像の後方で撮影した。

教会などの出入り口のそばに、入れ物を持った男女が座り込んでいて、野遊は最初わけがわからなかった。彼らは持参したらしい簡易椅子にかけ、わたしたちに声をかけてくる。それは気さくな感じだった。手を上に向けて通行人に差し出している人もいた。それは施しを受けようとしている人たちだった。

これについて、仲間の寅ちゃんの、後日の説明。
「日本人は雨より冷たい施す人はいない。観光客目当ての物売りや恵みを受けようとする行為を、日本人は毛嫌いするが、神社や寺に参ると賽銭箱に金を投じる。施しを受けようとしている人たちは宗教的文化でありいわゆる乞食根性ではない」

そうだったか・・・