大黒屋光大夫を辿る旅  31 憧れの聖ゲオルギウス

エルミタージュ美術館「聖ゲオルギーの間」には歴代ロシア皇帝玉座があり、そのうしろにはロマノフ家の紋章、双頭の鷲が飾られてある。
さて「聖ゲオルギウス」の絵画を見た。
それがこの部屋で見たのかどうか、あんまり一度に見学したので記憶に定かではないのだが、多分この部屋で見たのだろうと思う。
あっ、聖ゲオルギウスだ!と、野遊はどんなにうれしかったことか。

聖ゲオルギウスは、野遊の子供時代の憧れの王子さまだ。
初めて見たのが『世界名画全集』からイコン作。
小学校6年の感想文で、こう書いている。

「真っ白な馬に乗って、悪まとたたかっているのはゲオルギウスです。バックは真っ赤です。きみの悪い緑色をして、長い体で白馬にまきついているのは、悪まです。馬が首をねじりあげて、前足を高くあげているところなど、とてもりっぱです。その馬に、堂々と乗っているゲオルギウス。まるで神様のお使いで、こわいもの知らずのようです」

鎌倉市立第一小学校。受け持ちの井東先生に特マルをもらった^_^;)
(小学校時代の仲間へ。先生はご健在ですよ〜気高く清らかな晩節、時々コンサートなどにお出かけになるとか。やっぱり音楽の先生ですね)

作文で「悪ま」と書いたが、これは村の羊を食べる毒竜で、生贄の羊を全部食べてしまい、王様の姫をさしだすことになり、その姫をゲオルギウスが助ける。ここはアンドロメダ伝説に似ている。
エカチェリーナ宮殿の庭園に、大蛇に殺されそうになるアンドロメダの彫像と、助けに駆けつけるペルセウスの彫像があり、ペルセウスはその前にメデゥーサを退治していて、その首を大蛇に投げつけて石にしてしまう。
ペルセウスの場合は女性のアンドロメダのほうが有名で、ゲオルギウスは断然彼が主役だ。

ゲオルくんはその後、キリスト教をめぐって果敢に戦うのだが殉教死、ジーザスはことのほかゲオルくんが好きみたいで、正教会では聖大救命者凱旋者ゲオルギィと呼ばれる。

一枚の絵から思いを馳せて、やがて中学2年のとき野遊、ギリシャ神話を読んだ。ゲオルギウスは正義感あふれる勇者だった。ちょっと苦しく読んだ。その苦しさが憧れに拍車をかけた。

時をさかのぼってあの日の自分にささやきにいきたい。
「将来、本物のゲオルギウスの絵に会えますよ」って。

やっぱりゲオルギウスはカッコいい!
それなのに、どこの部屋で見たか忘れてしまった野遊って・・・・(>_<)
う〜ん、聖ゲオルギーの間(王座の間)だったと思うけど・・・(恥)