朝日連峰 この秋 3 「障子、障子、と走る」

神頼みだけではダメなので、時々行く体育館に、時間の合間をぬって足しげく通うことにした。体力を増強しようとランニングしていたら、たまに回ってくるトレーナーがアドヴァイスをしてくれて、ジョギングマシンに10%の傾斜をつけて時速6キロで40分歩くことにした。最初はもっと短かったが、1日おきに通って徐々に上げていった。

腹筋も傾斜をつけたら10回で、もう体があがらなかったが、毎回1回ずつ増やしていき、そのあと斜めに起きあがったり、限界がきたら手を後ろにまわさないでやってみたり、筋肉痛で苦しまない程度にがんばった。だって筋肉痛状態の時はトレーニングはしないほうがよくて、数日して治ったらまた始める、なんて時間ないから。野遊は腹筋力はあるほうだと思っていたけれど、あんまりなかった(>_<)
腕力はないほうと自覚しているので、腕の筋肉もついたほうがいいよねと、ついでにちょっとだけ腕の筋トレをして、それからストレッチをして帰る。最初は軽い筋肉痛があって、腕と横腹だった(・・?)。

歩くのは野遊は短気で、すぐ走りたくなってきて、ちょこっと走ってハァハァいって終わりにしてしまっていたが、一生懸命歩いたあとに走ると、今までよりも楽に走れた。
走りながら呼吸に合わせて、「障子、障子」と言った。
でも、だれかがそばを通ったら聞こえるかもしれず、彼氏の名でも呼んでいるのかと思われたら恥ずかしいので、声を出すのはやめた。
1ヵ月半続けていかほどの効果があるかわからないが、何かしなくてはいられなかった。
ザックは30ℓ以上のを買うことにした。今使っている野遊のはせいぜい25ℓまでだった。夏季と違うので、装備はどうしても増える。シュラフも買った。夏用シュラフでは寒いから。野遊はドメゾンの冬期用の優れ物を持っていたのだが、しばし使わなかった時期に、へちょむくれの無責任ヤロウの知人にねだられて貸したきり、戻ってこなかった。思い出多いシュラフで残念だが、あれは今時ではかさばるシュラフだろう。
このたびは10月という季節なので、もちろんマットも持って行く。

準備していきながら、緊張感とうれしさが上昇していった。地図を眺めてから睡眠。