恩師村田邦夫先生 14 はるかなる連弾「さようなら鈴鹿」 

『はるかなる連弾』〜恩師村田邦夫の旋律を辿って〜 の出版以降、野遊は、ハチと野遊の連弾はエンドレスなのだと知った。

どこまでも続く道を、どこまでも歩いていくのだ。前方にハチの後ろ姿を見つめながら。

鈴鹿との関わりができたのがハチの軌跡を辿ったことによる。そこからさまざまな世界が広がっていった。佐佐木信綱記念館、大黒屋光太夫記念館、鈴鹿山脈との出逢いもそうだ。人間関係もそうだ。すべてハチに帰着する。

けれどハチの息吹を感じようと自身の心を見つめるとき、野遊の中に、鈴鹿の映像はない。

やはりハチは教師なのだった。野遊は教え子です。

そして野遊には、このことしか必要じゃないのです、ハチに関しては。

無音の世界で発酵していくものがある。いつかこの壺を、そうっとあけてみようか。
野遊の、永遠に結末のない、ハチへの追想


【遠さかる雷鳴を聴け ものみなに ときありてしかも とどまらなくに】村田邦夫