自分への縛りだったジム通い

 私はヨガストレッチのインストラクター。週に何本か定期レッスンを受け持ち、サークルや施設などからのオーダーをランダムに受け、合間の時間帯はジムに通っていた。

 月曜は午前は定期のヨガストレッチ、午後はジムでパーソナルトレーニングを受け、火曜も午前が定期の行動、午後はジムでプール・・・などなどで日曜はオフ。といった日課をリズミカルにこなしていた。ジムトレーニングは、体力や感覚の維持促進のためにも欠かしてはならない。

 2019年、世界をコロナ疾風が襲い、川がせき止められるようにすべてが滞った。私の小さな世界にもその風は吹きまくり、定期レッスンはストップし、外部からのオーダーも途絶えた。ジムもしばらく閉鎖、スケジュールが白紙となった。

半年後、規制は緩んだが強い縛りがあり、私も、会員方の感染の派生を懸念して、容易に行動しがたい。秋から少しずつ活動を再開し、冬も窓を開け放したり、人数を半分交代で行なったり、館内を出て原っぱで行なったりと、工夫を重ねた。しかし回数は圧倒的に減らさざるを得ない。収入は悲惨なものだった。

 けれど、おうちで過ごすうちに、なんとなくまったりした気分になり、部屋を片付けたり、夜はマスクをして近所の海岸を歩いたりするようになった。気が付くとお月様を眺めたていた。あれ?のんびりするっていいなあ!のんびりし過ぎると体が鈍って後退するからと、曜日ごとにジム通いの約束事を課していた自分が、思いがけない事態で解放されたのだった。ジム通いは、もっと自由に選んでいいのだ、しない日があってもいいのだと思えるようになった。それらの約束事を縛りではなく、自分が望んで選択して向き合うと、心も体も楽になった。

 コロナ禍でさまざまな辛い目に遭ったが、「しなきゃならない」にとらわれていた自分への縛りから解放されたことは、ひとつの前進と言えると思う。災いの中にキランと光る、ささやかな「いいこと」だ。