野遊の将棋物語21 王位戦1 挑戦者になってしまってた

王位は羽生さんのものだったころからの記憶になる野遊。岡山桃太郎の菅井君が羽生さんに勝った時は、ギョッとしたけれど、あれはいつのまにかすっかり過去のことになっている。

タイトル王となった1年間、あまりにも周囲の待遇が変わり世界が変わったと驚いた菅井君、初タイトル経験者はみんなこういう体験をするのだろう。管井君はそんな自分を、いかにして持ちこたえたのだろうか。棋士によってその1年の過ごし方は大きく違い、その後につながる。

菅井君を破った豊島キュンは、次の夏、最高齢者初タイトルか、と騒がれた木村一基と向き合うことになる。

そして座を譲った。あれは何だったのだろう。動じたのかもしれない。気おくれしたのかもしれない。

キュンはその失敗を次へとつなげた、と思う。竜王戦。誰もが百冠を願って羽生さんを応援する中、はっしと立ち向かって防衛した。

 

さてキュンから王位を奪った一基は、40代後半にして生まれて初めてのタイトル保持者として感動され話題になったが、藤井聡太を挑戦者に迎えて防衛ならず、そればかりかただの1局も勝てず、王位タイトルは、はかない1年の夢と消えた。

 

そして今夏、再び豊キュンが勝ちあがってきた。その前に羽生さんと対局したが、すでにキュンのほうが強かった。王位を特に目指したわけではなかったようだ、もちろん。

順位戦で勝ちたかったに違いないのだけど、勝負とは思い通りにも計算通りにもいかないもので。

別に藤井君を意識して敢えて王位狙いを目指したのではないです。そこの対局に白星が重なったので、挑戦者になった。