野遊の将棋物語26 王位戦第2局二日目

7月14日(水)

今日も開始時間の12,3分前にキュン登場。聡太はその少し後。

聡太は着付けさんやら付き添いさんらに指示されたように動いているのだろう。

何度見てもキュンの姿は美しい。聡太と相対した端座姿もゆかしい。シルエットのなんと麗しい棋士であることか。見惚れる。

対局は、勝利すると先行、敗北なら同点で、この2局目は状況の決め所だそうだ。

キュンはずっとやや優勢を維持していたが、どことなく野遊は不安感に包まれ続け、案の定、午後を大きく過ぎた17時ごろ、ぐらりと揺らいだ。

一瞬の指し手によってその場で数値が逆転し、一度譲るともう後には戻ることなく、ずるずると押されたまま宵の口、キュンはきっちりと手を盤上に添えて投了の挨拶をした。

それはこれから始まる茨の道を示唆しているのだろうか。

野遊はこの日、心が痛んで夕食を摂ることができなかった。