ルネのおばか

今年の夏は、我が家に、「あの虫」(業界用語では太郎丸というそうだ)を見ないで終わった。夏の初めにバルサンを炊いたり、相当気遣っていたが、窓から入ってきたりするから、太郎丸はどうしようもないのだ。見なくても、夢に見てうなされたりするし。本名を口にしたくないほど、わたしは「あの虫」が苦手なのだ。どこが苦手って、書こうとしただけで全身がゾワッとして、口中苦みばしり、しばし息を吸えない。
ネコは受話器ひとつ取ってくれるでなく(犬も取らないが)、役に立たない動物だが、たった一つ、役に立ってくれることがある。それは太郎丸が出たとき、やっつけてくれることなのだ。で、わたしの不行き届きなんだけど、窓をあけていたら、秋なのに太郎丸がやってきた。ごわぁぁぁ!!!ルネは背中を丸めてじっと見て、それから、水を飲みだした。そばにいるのに、「あれ」が。わたしは室内電話で夫を呼び、そうっと来てください、必ず捕まえてくださいと、震える声で小さく叫んだ。こわくて声も細る。で、夫がテッシュペーパー持ってやってきてくれて、とにかく捕まえてくれた。そのとたん、わたしはうぎゃあああと悲鳴。そのあと、ルネ、君はおばかですねと思った。これに役に立たばければ、ネコ、意味ない。とわたしは断言する。来夏はどうなるのだろう。ルネが太郎丸を捕まえない子なら、わたしはこれを手放すよ!!!

後日書き足し・ルネは狩り本能を持っている子で、小さな虫も見つけると捕まえるようになった!太郎丸は年に何度もは現れないけれど、狩ろうとしてくれるようになった。とっても助かる!