ネコたち日誌 番外編3 服従しないルネ

「ジロスケとルネ」

大ネコ2匹は階下に居ついた。
二階の空き部屋を彼らの居場所にと思っていたのだが、彼らが二階に来るとルネがとても嫌がるので、だんだんこういう形になっていった。

早朝、大ネコはそれぞれ野遊の部屋に訪問してくれるのだが、そのときのルネのものすごい嫌がりようはネコにだって伝わるもので、それならだれにも嫌がられない階下に居よう、ということになる。

大ネコはどちらもルネに敵対心を持っていない。でもルネが野遊の部屋の隅っこにいても探し出して近づいていくので、これをルネはとてつもなく嫌がるのだ。ジロスケはルネの後ろに回って尻尾をクンクンする。ルネが拒まなければこのまま仲良くなれるのに、ルネの電撃的拒否反応はこちらまでギクッとするほどだ。

「それ以上近寄らないで!!!」という声が聞こえるようだ。
「わたしはあなたたちに何もしてないでしょ!だからそっちも知らん顔してて!!」と叫んでいるようだ。そう、ルネは階下に行かなくなってしまった…

でもジロも梅太もルネなんか別に怖くないので、何度でもまた近寄っていく。ジロなんかルネが逃げだすギリギリの距離まで行って真向かいに座り、じっと顔を見ている。ルネは低いうなり声でじっとしている。そのときに野遊はルネを抱きあげてしまう。放っておくとやがて取っ組み合いになるから。

これも取っ組み合いというか追いかけっこのような形になるのだが、見合っているうちにルネが立ちあがって立ち去ろうとするのだ。するとジロが追いかけだし、それに反応してルネが速度をつけ、その速度に合わせてジロが追いかけるのだ。

もうこうなると野遊の手におえない。ネコは何とすばやい動物だ。だから声で止めながら追うのだが、騒いでいるのはもっぱらルネなのだった。ジロは「悠然と」ルネに合わせて後を追うだけ。そんなときのジロは大股でゆったりして散歩馬みたいに見える。ルネは全身逆立てているのに。やっぱりルネが嫌がる以上は、これはいじめである。

ジロはルネとそんなことがあるごとに、野遊を避けるようになった。野遊に叱られると思っているようだ。ジロが野遊の部屋に来る時も、こそこそした感じで、野遊の顔色をうかがっている。どうもジロと野遊の距離が遠のいてしまった。