野遊・東日本大震災6 「被災地に 桜前線まっしぐら」

春の雪 被災の民に神よなぜ
まだ降るか霜の春朝被災地よ
肩寄せて この寒春を被災者よ
復興と言えど還らぬ命たち
被災地に 桜前線まっしぐら

だれがとがめよう、無心の花を。
ふりあおぎ、ささやかな喜びに無上のエールを贈る。
あなた、よく咲きましたね。
自粛も比較も嘆きも怒りも知らぬげに、倒れた隣の樹も知らぬげに桜咲く。
よくぞ、よくぞ生き残ってくれた。
生を謳歌する桜は、どうぞお構いなくと散っていくのだろうか。

この凛々しさ、この健気さを、誇り高しと愛でて日本人は桜を国花とした。

桜前線はまっしぐらに日本中を駆け巡る。
九州も四国も関西も関東も東北も北海道も
桜は咲きめぐる、吹きすぎる。

ナニ県もカニ市もない、日本は日本だ。
どの地方がどの地方を批判したり、比較していじけたり・・・
被災者も、末端被災者も、そうでない所の者も、みんなで
今こそ同胞を思いやり合おう、世界から見れば小さな国、日本。

発端は戦争ではなく、天災で巻き起こった様々な不幸。
でも、流れ出した不慮の失態はあまりにも大きい。
だからこそ守り合おう、今この時を。

美しい桜が一陣の風を残して咲き、散っていく。
「自分は00県人であってよかった、悪かった、イヤだった」・・・無意味だ。
それよりも「日本人であってよかった」と、思える日を迎えようよ。
それは我々の心の向き方ひとつだと思う。

困難なときにこそ、大和民族よ、心を合わせて立ち向かおう。
それが我々の誇りだ、日本人の特技だ。
県と県が、東北と関東と関西が、せめぎ合うのは主眼が違う!
等しく咲きめぐる桜がささやいている。

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だれだったか、近代の文豪とかの一人だが、
「犬は卑しい。犬は人間につながれ散歩しているとき、知らぬ犬に会うと唸り、牙をむく。同類を敵対視する犬を、犬畜生とはよく言ったものだ」と。
野遊、犬好きなんで(T_T)・・・でも、この話を通して、そうだなぁ〜今、震災で、原発で、日本がナーバスになっている危機に、東京はどうの、東北の電力は東京に流しているのだからどうの、関西はどうのと、恥ずかしい論議を繰り返す人々を目の当たりにして、日本人、情けないと悲しいです。世界に流してしまった「不始末」を、同胞をせめぎ合うよりも、この国を何とかせねばと、世界に向かっても何とかせねばと、何で何で思わない層がいるのだろう。