朝日連峰北方 3、大井沢入り

山形駅は懐かしい。初めては一昨年の夏、小寺から大井沢まで朝日屋さんの弟さん方の車に同乗させていただき、そこからバスで月山口、そこからまたバスで山形に出て、終点を間違えて県庁前で下車してしまい、西日をもろに浴びながら10キロ以上の道路を登山靴で歩いた悲惨な思い出。
ようやく辿りついた山形駅、ビジネスホテルに入ってグッタリ。それから起きだして明日の切符を買いに出た、ネオンピカピカの呼び込みさんが騒ぐ夜の顔の駅は嫌な印象だった。
次の日の早朝は打って変ってさわやかな風景で、不思議に思ったものだ。その翌月、出羽三山の帰りに同じバスで山形駅に出た。感慨深かった。
それから昨年は二度、朝日連峰山形駅に出ている。

今年の山形駅はそれらの思い出を全部一緒にして、変わらぬ風情で野遊を迎えてくれた。
野遊はよく知っている駅に立った思いに包まれたものだ。

ここで橋本荘さんに電話を入れる。「今から、月山口15時37分着のバスに乗ります」。

高速道路は、昨秋山じいの車で通った。あのときは夜が明ける前で、濃い霧がかかっていた。インターで山じいと朝食タイムをとったな、温かいナメコ汁がおいしかったなと思い出す。

月山口に着くと、橋本荘の女将さんが待っていて下さった。昨年はおじさんだったが、今日は何やらお友達が集まっているそうだ。
橋本荘の女将さんは、地元の方々から「女将は美人」と言われている。もう年配の方だが本当に器量よしで、笑顔もチャーミングだ。

16時過ぎ、橋本荘に着くと、昨年迎えに来てくださったおじさんが、玄関の間でお友達数人と談話していて、野遊を見ると満面の笑顔で迎えてくださった。

女将さん、野遊を指して「(昨夏)失敗した人」と言って紹介?した。失敗か・・・失敗だな、でも野遊はこのとき、この方々にどういう情報が入っていたのかな、とフト思ったものだ。まいいか、登りながら考えていこう。