ヒマラヤポカラトレッキング50「心よりお金か」

シュレス、野遊の姉がシュレスにってお土産に持たせてくれた、あのシャツ、着てみて。シュレスはニヤニヤしながら、あれはレディナにやってしまったからないよと言い、レディナに聞こえないようにしていたので、それは嘘だった。どこにあるか見せてと言ったらチャックのついている長方形のクローゼットを開き、重なった服をひっくり返して探すふりをして、ないと言った。シュレスは売ってしまったのだ。
野遊の妹が手作りしたマグカップも、シュレスの写真とネーム入りなのに、ルビおばさんにあげたと言ったが、今思えば嘘だった。そして、初めてのトレッキングで、野遊がシュレスに、お揃いで買った緑の毛糸の帽子も、あれはダディにあげたと言っていたが、同じ嘘をつくのでようやくわかった。

貧しいからではあろうが、そういうことができる民族なのだ。野遊の尺度ではわからん!

レディナにあげた腕輪も、レディナは売るのかもしれない。聞きたくない。

もうお土産は持っていくものか。でも彼らは期待に胸を膨らませて野遊のお土産を待っているのだ。・・・お菓子にしよう・・・