ヒマラヤポカラトレッキング48「ベッドの上の牢名主」

シュレスは住んでいるアパートに案内してくれた。レディナは家で待っていた。

シュレス夫婦は、同じライ族の友達夫婦のアパートに、同宿させてもらっていた。

案内されて行くと、二階建ての長屋の1階の1室で、ドアを開けたところで玄関はないが靴を脱ぐ。長屋の外廊下に靴やサンダルが散乱している。

入ると9畳間くらいあるかなあ、その空間の出入り口近くはキッチンスペースで、蛇口はないが流しはある。

流しの横はガス器具、周囲には食器や調理器、足元には水タンクが2本。なくなりかけると次の水を買う。

この一部屋に夫婦二組が住んでいるのだった。きっとシュレスが家賃を半額ほど友に支払っているのだろう。ベッドが2台あり、一つはダブルベッド、一つはシングルベッド。そのシングルベッドは友のベッドで、若い妻二人はダブルベッドで寝て、シュレスは床で寝るらしい。

 床面のスペースといったらL字に置いてあるベッドのわずかな四角い面(シュレスが寝る面)と、すぐ脇のキッチン台の前に立つスペースだけ。そこにシュレスの友の妻とレディナが立ったまま。その足元には水のタンクが2本置いてあり、もうギチギチだ。

野遊はダブルベッドの上に座らされた。その下に、シュレスと、近所から覗きに来た人たちが肩を合わせて座り、野遊を見あげている。野遊は牢名主みたいな感じになった。