野遊の将棋物語28 行け、豊島

豊島キュンの剃刀の刃のような研ぎ澄まされた鋭さ、頼りなさが怖い。藤井聡太くんの刃は、斧だ。 勝つとか負けるとか…関係ないはず。どれほど張り詰めたすばらしい対局を繰り広げているか。 カミソリやカッターナイフはね、必ずオノに、一撃で倒される日が来る。 それに年齢も差があるし。いつか必ず逆転する。聡太も好きだ。連勝すると、夢よ彼に30連勝を、などと思ってしまう。 けれど聡太の相手が豊島竜王だと、ただひたすら豊キュンを応援する。 キュンの儚さがたまらない。 行け豊島、果てる所まで。それがあなたの人生の最終地点であろうとも進め。 聡太にしてみれば、先輩豊島さんとの戦いは、駆け出しのわずかな年数。そのあとは、すでに後から追いあがってくる新たなライバルとしのぎを削ることになろう。 聡太を磨くためにも、行け豊島、果てるところまで。