野遊の将棋物語30 鬼の道

2014年のAI対決で当時の豊島七段が勝った時、彼はそのソフトで1000局練習したと言っていた。常人にはできない自己訓練の末、ソフトの特徴をつかんで勝ったのだろう。

でも・・・これが1局対決でなく、7番勝負だとしたらどうだっただろう。

この度藤井2冠と対局を重ねていくことは、そういう事態に似ている。

棋譜を研究して練りに練って対局に望めば豊キュンだって強豪棋士、力で押し切ることもできていたのだろうが、対局を短期間に重ねたとしたら。

今年は朝日杯も入れて、竜王戦で聡太が挑戦者になったとしたら20番勝負となる。20局、1年で対局し合うってすごいことだ!

これならどうだ、ここで本当の力を見せ合おうじゃないかとAI に迫られているようなものだ。

聡太が連勝の快挙と共にデビューした当時から、豊キュンは聡太の前では勝ち棋士だった。聡太は誰と一番対局したいですかという質問に即、豊島さんと答えたことがある。で、デビューした次の年明けに、聡太の相手に豊キュンを指名して正月対局を組んだことがある。聡太が勝った。これは公式戦ではないのでカウントされなかったけど、周囲は何とかこの2棋士を向き合わせようとしていた。

この度はもう、周囲の人々にとっては望んでいたような事態となって楽しいだろう。強い棋士がここまで向き合うこととなった。強かったからだ。宿命だな。

双方AI棋士というけれど、今は聡太の方が優れているだろう。もうソフトがつくるプログラムではなく、聡太がつくり伸ばしていっているのだろう。

あとはどのくらい高価で常に最新版のソフトを購入できるか、なんてことになっていくのだろうか、なんだかつまらないなあ。