千の記憶(6)最初の猫の記憶 ピコ 1

 

白い猫で、知り合いからか、可愛いですよと言われ、それならと、もらったそうだ。今と違って室内飼いでもなく自由に出入りさせていたが、トイレ以外は、たいてい家にいたように思う。性格もおとなしくて賢い、良い猫だったと母やアネが言っていた。

 

冬、電気の通ったヒーターの上を歩いてしまって、片方の前足に軽い火傷を負ったそうで、その足を、やや内股にして歩く姿が独特で、むしろ上品に見えたと母が言っていたことがある。そんな後遺症が残るなんて、軽い火傷ではないではないか。別に手当てするでもなく、ピコが表面を舐めて治したのだろうけど、なんだかひどい話だ。

その時代は父、母、アネ、マチ、エリ、ココの6人家族だったが、母は子育てに大変な時に、よく猫を迎えたものだと思う。家族みんなでピコをかわいがったと思う。

そのピコがエリの胸に強烈に刻まれる事件が起こった。